カテゴリ:絶対存在論
神の存否-400
定理一三 現在に存在しないことが知られている偶然的な物に対する感情は、その他の事情が等しければ、過去の物に対する感情よりも弱い。 証明 我々はある物を偶然的として表象する限り、その物の存在を定立する他の物の表象像に刺激されることがない(この部第四部の定義三 我々が単に個物の本質のみに注意する場合に、その存在を必然的に定立しあるいはその存在を必然的に排除する何ものをも発見しない限り、私はその個物を偶然的と呼ぶ。により)。むしろ反対に(その表象の仮定に従い)、その物の現在的存在を排除するあるものを表象する。ところが我々がその物を過去の時と関連させて表象する限り、その限りにおいて我々は、その物を想起させるあるもの、すなわちその物の表象像を喚起するあるもの(第二部定理二八 人間身体の変状の観念は、単に人間精神に関連している限り、明瞭判然たるものではなく、混乱したものである。ならびにその備考 人間精神の本性を構成する観念は単にそれ自体のみにおいて考察すれば明瞭判然たるものでないということは同様の仕方で証明される。人間精神の観念および人間身体の変状の観念の観念も、それが単に精神にのみ関連している限りそうである。*すなわち混乱したものである。これは各人の容易に知りうるところである。を見よ)を表象するものと想定される。したがってその限りにおいて我々はその物をあたかも現在的であるかのごとく観想するようにさせられる(第二部定理一七の系 人間身体をかつて刺激した外部の物体がもはや存在しなくても、あるいはそれが現在しなくても、精神はそれをあたかも現在するかのように観想しうるであろう。により)。ゆえに(この部第四部の定理九 感情は、その原因が現在我々の前(*面前)にあると表象される場合には、それが我々の前にないと表象される場合よりも強力である。により)現在に存在しないことが知られている偶然的な物に対する感情は、その他の事情が等しければ、過去の物に対する感情よりも弱いであろう。Q・E・D・=此れが証明すべきことであった。 哲学・思想ランキング お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2022年05月05日 06時02分17秒
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