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Tough Boy-World of cap_hiro(Subtitle:sense of wonder)

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2022年07月15日
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カテゴリ:絶対存在論
神の存否-471
 エチカ第四部 人間の隷属あるいは感情の力について(第一項 ー 第三二項)
  付  録  第一〇項から第二〇項
 第一〇項 人間は相互に対してねたみあるいは何らかの憎しみの感情に駆られる限りその限りにおいて相互に対立的である。したがってまた、人間は自然の他の個体よりいっそう有能であるだけにそれだけ相互にいっそう恐るべき敵なのである。  (人間、恐るべき敵)
 第一一項 しかし人間の心は武器によってでなく愛と寛仁とによって征服される。
 第一二項 人間にとっては、たがいに交わりを結び、そして自分たちすべてを一体となすのに最も適するような紐帯(ちゅうたい)によって相互に結束すること、一般的に言えば、友情の強化に役立つような事柄を行なうこと、これが何より有益である。 (*走れメロス:ギリシャ・ローマ世界で広く流布した友情物語 注:太宰治・ピタゴラス派)
 第一三項 しかしこれをなすには技倆と注意が必要である。なぜなら、人間というものは種々多様であり(理性の指図に従って生活する者は稀であるから)、しかも一般に妬み深く、同情によりも復讐に傾いている。ゆえに彼らすべての意向に順応し、それでいて彼らの感情の模倣に陥らないように自制するには、特別な精神の能力を要する。一方、人間を非難し、徳を教えるよりは欠点を咎(とが)め、人間の心を強固にするよりはこれを打ち砕くことしか知らない人は、自分でも不快であり他人にも不快を与える。このような次第で多くの人は、過度の性急さと誤った宗教熱との故に、人間の間に生活するよりも野獣の間に生活することを欲した。これは親の叱責を平気で堪えることができない少年もしくは青年が家を捨てて軍隊に走り、家庭の安楽と父の訓戒との代りに戦争の労苦と暴君の命令とを選び、ただ親に復讐しようとするためにありとあらゆる負担を身に引受けるのにも似ている。  (軍隊)
 第一四項 このように人間は大抵自己の欲望に従って一切を処理するものであるけれども、人間の共同社会からは損害よりも便利がはるかに多く生ずる。ゆえに彼らの不法を平気で堪え、和合および友情をもたらすのに役立つことに力を至すのがより得策である。
 第一五項 この和合を生むものは正義、公平、端正心に属する事柄である。なぜなら人間は不正義なこと、不公平なことばかりでなく非礼と思われること、すなわち国家で認められている風習が何びとかに犯されるようなことも堪えがたく感ずるからである。さらに進んで愛を得るには宗教心および道義心に属することが最も必要である。これらのことについては第四部の定理三七の備考一(骨子:友愛的と国家の基礎)、備考二(骨子:自然状態)、定理四六の備考(自分の受けた不法を憎み返しによって復讐しようと思う人はたしかに惨めな生活をするものである。これに反して憎しみを愛で克服しようとつとめる人は、実に喜びと確信とをもって戦い、多くの人に対しても一人に対するのと同様にやすやすと対抗し、運命の援助をほとんどまったく要しない。一方、彼に征服された人々は喜んで彼に服従するが、しかもそれは力の欠乏のためではなくて力の増大のためである。これらすべては単に愛および知性の定義のみからきわめて明瞭に帰結されるのであって、これを一々証明することは必要でない。)および定理七三の備考(骨子:「正しく行ないて自ら楽しむ」ことに努める。)を見よ。
 第一六項 そのほかに和合はしばしば恐怖から生まれるのが常である。しかしこれは信義の裏づけのない和合である。これに加えて、恐怖は精神の無能力から生ずるものであり、したがって理性にとっては無用である。あたかも憐憫が道義心の外観を帯びているにもかかわらず理性にとって無用であるのと同様に。
 第一七項 なおまた人間は施与によっても征服される。特に生活を支える必需品を調達するすべを持たない人々はそうである。しかしすべての困窮者に援助を与えることは一私人の力と利害をはるかに凌駕する。一私人の富はこれをなすのに到底及ばないからである。それにまたただ一人の人間の能力はすべての人と友情を結びうるにはあまりに制限されている。ゆえに貧者に対する配慮は社会全体の義務であり、もっぱら公共の福祉の問題である。     (福祉)
 第一八項 親切を受け容れまた感謝を表わすにあたってはこれとまったく異なった配慮がなされなくてはならぬ。これについては第四部定理七〇の備考(骨子:親切を避けるにあたっては、何が利益であるか何が端正であるかを考慮しなければならぬ。)および定理七一 :抜粋 人間の贈物によって動かされない人はなおさら忘恩的とは言われない。いかなる贈物によっても自己あるいは社会の破滅になるような行ないへ誘惑されない人は、確固たる精神の所有者であることを示しているの備考を見よ。
 第一九項 なおまた肉的愛、言いかえれば外的美から生ずる生殖欲、また一般的には精神の自由以外の他の原因を持つすべての愛は容易に憎しみに移行する(ただしその愛が狂気の一種にまでなっている〜〜省略、これはもっとしまつの悪い場合であるが〜〜云々ならこの限りでない)。こうした場合には和合よりも不和がいっそう多くはぐくまれる。第三部定理三一の備考 自分の愛するものや自分の憎むものを人々に是認させようとするこの努力は実は名誉欲である(この部の定理二九の備考を見よ)。このようにして各人は生来他の人々を自分の意向に従って生活するようにしたがるものであるということが分かる。ところで、このことをすべての人が等しく欲するゆえに、すべての人が等しくたがいに障害になり、またすべての人がすべての人から賞讃されよう愛されようと欲するゆえに、すべての人が相互に憎み合うことになるのである。を見よ。
 第二〇項 結婚に関して一言えば、もし性交への欲望が外的美からのみでなく、子を生んで賢明に教育しようとする愛からも生ずるとしたら、その上もし両者の愛が外的美のみでなく特に精神の自由にも基づくとしたら、それは理性と一致することが確実である。  (結婚)



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最終更新日  2022年07月15日 06時07分15秒
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