CAPTAINの航海日記

2011/06/26(日)02:53

超単純な比較論 ~被曝か避難か~

東日本大震災(196)

今日もまた、途中まで書いた日記が、パソコンのエラーで消えてしまいました(涙) だもんで、書きたいことはいろいろあるのですが、要点だけ簡単に書こうかと思います。 一番書きたかったのは、山下俊一氏が「100mSvまでは大丈夫」と発言し多くの県民の避難を思いとどまらせたことによって、どれだけの功罪があったのか? ということです。 福島市を参考例として、超単純に、死亡者数のみで表したいと思います。 まず、山下氏の主張を信用して福島市に残った場合ですが、年間100mSvの放射線量を浴びた場合の癌死亡リスク上昇率(0.5%)をしきい値がないものとして低線量域にまで直線的に敷衍し、年間10mSvの放射線量を浴びたとすると、癌死亡リスク上昇率は0.05%となります。福島市の人口は約29万人(便宜上、一万人単位で四捨五入とします)なので、全市民が年間10mSvの放射線を浴びたと仮定するならば、死亡者数は、 290,000人 × 0.05% = 145人 ということになります。 一方、山下氏の主張を信用せず福島市民が全員避難したと仮定してみましょう。避難と簡単に言いましたが、実は、ストレスなどの影響で震災関連死のリスクが増大することを見落としてはなりません。震災関連死のデータはネットで検索しても正確なものがなかなか見つからないですが、5月13日にNHKが発表したところによると、県内にある2次救急病院と沿岸部にある病院から聞き取り調査をした範囲内では、震災関連死として認められる死者数は123人とのことです。なお、この数値は県外に避難した被災者の人数が計上されていないので、実際にはもっと多いことが予想されます。 また、福島県内における避難者数ですが、一応最大値として確認できる数字は、3月13日現在の131,700人(警察庁発表資料に基づく)のようです。分母分子ともに不明確なのでかなり乱暴な設定になりますが、震災関連死のすべてが避難者から出たものと仮定すると、死亡率は、 123人 ÷ 131,700人 ≒ 0.093% となります。 そして、その数字を福島市に当てはめてみると、死亡者数は、 290,000人 × 0.093% ≒ 270人 となります。年間10mSv浴びるよりもかなり多い人数ですね。 偶然の一致とでも言えるでしょうか。実は福島市全体が年間20mSvの放射線量を浴びていたと仮定すると、癌死亡リスク上昇率は0.5%÷100×20=0.1%になるので、死亡者数は 290,000人 × 0.1% = 290人 となり、全市民が避難した場合における震災関連死のリスクを上回ります。つまり、年間20mSvを超える可能性がある地域が計画的避難区域に指定されたのには、それなりに根拠があったのかな…と。さすがにそれはないか(笑) 震災関連死の内訳を見ると65歳以上の高齢者が90%近くを占めるのに対して癌死亡リスクはむしろ低年齢層に高いことが予想されるなどの相違点はありますが、一つ一つの命、それも今危機に瀕している命を救うという観点から考えると、確かに余分な被曝はしたかもしれませんが、山下氏の指示に従って避難せずに留まった方が死亡するリスクは低かったと考えられるのですが、いかがでしょうか?

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