2011/09/30(金)18:09
Story Power
このシリーズが好きなのと、有川さん目当てで購入しました。
東日本大震災や阪神淡路大震災を扱った物語が多く、被災者の方の苦悩をほんの少しだけ
垣間見た気分です。
・・・想像するのと実際に経験するのじゃ、雲泥の差なので、偉そうに分かったなんて
言えません・・・。
全部が全部、震災をテーマにした物語じゃないですが、悲惨な状況を目の当たりにしたような
衝撃の後に日常を描いた物語があると、ほっとします(^^;
繁栄の昭和/筒井康隆
くるくると、物語がループして全く動かない気持ち悪さみたいなものを感じ、
結論にああ、なるほど。
読んだときに、震災がテーマになってると勘違いしていたので、「それで?」と
思ってしまいました(^^;
さるの湯/高橋克彦
主人公が被災地で写真を撮ると、なぜか亡くなった方が写真に写り込む。
残された遺族に頼まれ、あちこちで写真を撮ってるときに、親しくなった地元民と
山奥の「さるの湯」に住む老人の安否を確認しにいくことになり・・・。
実際にそんな場所があるか知りませんが、あるかもしれないと思わされました。
死と向き合うのは、きっとどんな状況だって辛いから。
蟋蟀/玄侑宗久
作家さん自身が体験したんじゃないかと思うくらい、家ごと津波に流されてる時の
描写がリアルで怖かったです。
大切な家族や、数時間前に会ったご近所さんの死。
流されているとき、窓から見える地獄絵のような光景。
津波にほんろうされる恐怖に耐えきれず、家から飛び出してしまった飼い犬。
テレビからじゃ伝わってきませんが、きっと、誰かが体験したことなんですよね。
水が怖くてお茶が飲めない。お風呂やシャワーも怖い。
大量のお味噌汁を作るための、鍋いっぱいの水が怖い。
・・・そんな気持ち、全く分かりません・・・。
これでほんの少しだけ、被災された方の気持ちを知りました。
「頑張れ」なんて、絶対に言えません。
わがんね新聞/真山仁
大人が我慢すると、子供まで我慢する。
この作品を読んでて、福島の子供たちが出ていたニュースを思い出しました。
フィンランドから、本物のサンタに会わせてあげよう、なんて企画だったと思いますが、
最後の記念撮影で無表情の子供が何人かいました。
最初は、マスコミに追い回されてうっとうしいのだろうと考えてましたが、
それ以上にいろんなことを我慢して、我慢しすぎて表情を無くしてしまったのかな、と。
手作り新聞でも、ツイッターでも、どんな媒体でもいいから、不満を吐き出して欲しい。
言ってもらわないと分からないことって、本当に多いですから(^^;
漂流するピアノ/近藤史恵
阪神淡路大震災で、住んでいたマンションにひびが入り、お隣さんの1人が亡くなってしまう。
体育館での避難所生活を始めてすぐ、大阪から友達がやってきてその場から連れ出してくれた
せいで、大切な何かを失ってしまった・・・。
これも、作家さん自身か、それとも誰かの体験したことなのかもしれませんね。
少し移動すれば、無くしてしまったはずの日常がそこにある。
それをどう捉えるかなんて、実際に経験しないと分からないことでしょうね・・・。
ホリデイズ/瀬名秀明
セスナで教官と作家が一緒に飛ぶ姿に、これがどう震災に結びつくのか
期待半分不安半分。
・・・まだ、テーマが震災だと思い込んでたんです(^^;
うまく震災を逃れられても、あと1日遅かったら、あと数時間あの場所に居たら、
なんて状況の人にもしっかり爪痕を残してくれるんですね・・・。
不謹慎かもしれないですが、作家さんが最後にぽつりと言い残した夢、
私も参加してみたいです。
飛行機の免許は持ってないので、誰かに乗せてもらう形で。
ヒア・カムズ・ザ・サンparallel/有川浩
全く震災と関係無い話ですが(しつこい)、考えさせられました。
夢ばかり追いかける父親。挙句の果てにはアメリカに行ってしまう。
そんな父を死んだことにしてしまい、忘れようと努める娘。
家族だけじゃ決して解決する見込みのない、難しい問題ですが、
どこかで許さないと、そのまま二度と会えない可能性だってあるわけで。
かといって、折れどころって難しいです(^^;