2005/11/14(月)23:00
WOMEN CAN DO IT! ハンガリーからつながった一冊の本
6年前(財)国際交流基金の招きで来日したハンガリーの女性グループと交流する機会があった。その中の一人の女性と意気投合し、女性のエンパワメント(潜在的に持っている力を引き出し支援すること)について話をしていたら、彼女がぼろぼろになった1冊のテキストを引っ張り出してきた。
「WOMEN CAN DO IT! 」と書かれたそのテキストは、コピーを何度も重ねたものらしく所々、文字がかすれ読めないところもあり相当使い込まれている様子だった。「言葉はパワー」「男性支配のテクニック」「創造的解決方法」など魅力的な言葉とわかりやすい演習が目にはいり、非常に強い関心を覚えた。その女性自身もイギリスの友人からコピーを譲り受け「ハンガリーの女性たちのトレーニングに使っている。とてもすばらしいテキストだ」と絶賛していた。そして、「日本でもぜひこのテキストを使って」とプレゼントされた。それ以来、出典もわからないままここのテキストを日本でも使ってみたいと思いつづけていた。
2003年の春、ようやく翻訳をしてくれる知人がみつかり、1章分の翻訳が手元に届いたある日、知人の女性(Nさん)が最近出版したという一冊のブックレットをもってやってきた。
「ぜひ見て欲しい本がある。これを使って女性のリーダー養成をしたいのだ」と。
それは 「女たちのパワーブック」(かもがわブックレット)という翻訳本だった。ぱらぱらめくるうちに奇妙な感覚に襲われた。どうにも初めて読んだ気がしないのだ。どこかで読んだことがある?でも、それはノルウェー労働党女性局が作成した女性議員を増やすための訓練・教育用のテキストであり、私が目にするのははじめてのはず。
その原本の表紙をみて驚いた。「あの本だ!」
私は、ハンガリーの女性からもらった例のコピーを取り出して、見比べた。
間違いない。これだ!
Nさん(元大阪府議)が翻訳したのは、まさしく私がハンガリーの女性からもらったあのコピーだったのだ。
聞けばこのテキストは人から人へわたり、ヨーロッパの多くの女性たちのバイブル的なテキストになっており、Nさん自身も6年前にノルウェーで出会って以来いつかは出版をと思いつづけていたそうだ。そしてようやく出版にこぎつけ、そしてこのテキストを使ったリーダー養成講座を開催したいということで、私の元を尋ねてこられたのだ。
なんという偶然!思わず体が震えた。私の願いは、Nさんの手によって実現されていたのだ。それもこれ以上ない形で。その本をテキストにするためのリーダー養成講座の講師を引き受けたのは、当然のことだった。
こんな偶然が最近よくおこる。私には偶然を引き寄せる体質があるのかも?なんて半分本気思ったりしている。
この本の最後に「現代のリーダーに求められる資質」というくだりがある。女性がリーダーシップを身につけるために、この資質を学ぶ場を作りたい。それが今の私の次なる目標だ。
・内なる自信
・自分らしさ
・よい聞き手である
・情熱をもっている
・優れたコミュニケーションスキル
・洞察力があり意見をはっきり表現できる
・先見性がある
・勇気をもち、チャンスを逃さずリスクも覚悟できる
・対立する場合でも切り抜けられる
・批判に立ち向かえる
・孤独を克服できる力
・ハードなスケジュールや長時間の仕事に耐えられる
・知識、政治的洞察と創造力
・スタッフに意欲を持たせることができる