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カテゴリ:映画専科
📹 映画名作選№145 「トゥモロー・ワールド」 『145.トゥモロー・ワールド』('06)109分 米 多くの映画ファンを驚愕させた衝撃作『トゥモロー・ワールド』(原題“人類の子供たち”)!もう「圧倒された」としか言いようがない。あの緊張感は何事?(キューブリックの映画を観てるようだった)。 舞台は2027年の英国。物語の冒頭で「世界最年少の若者(18歳)が喧嘩で刺殺された」という報道に人々が絶句している。僕は“最高齢ではなく最年少でニュース?”と疑問に思ったけど、なんとこの時代、人類は子供を産めなくなっていた!これによって人々は希望を失い世界中が無法地帯と化し、英国は難民の流入を恐れて国境を閉鎖。移民者は迫害され、家畜のように檻に入れられ大陸へ送還されていた。主人公は政府の役人だが、移民者の人権確保を訴える反政府組織と接触するなかで、人生観をひっくり返すほどの“奇跡”に遭遇することになる--。 この作品は台本もすごいけど、カメラワークも画期的。ワンカットが驚異的に長い(画面が切り替わらない)ので、映画の中に放り込まれたような錯覚、臨場感を味わった。カメラは決して主人公から離れず、常に彼の見る光景だけが映っているので、主人公と同時に生きているようだ。映画を観ていることを忘れてしまいそうになる。 子孫を残せなくなった人類。核戦争が起きなくても、新種のウイルスや気候変動で人類が絶滅することもあるだろう。僕は昔から、モナリザやゴッホのひまわり、ベートーヴェンの第九やシェイクスピアの戯曲など、芸術の傑作はそれを鑑賞する人間がいて初めて命が宿ると思っていて、その意味でも人類が消える日を想像するのが怖かった。この映画にはまさにそれについての会話があった。文化相は世界の廃墟から作品を保護し修復しており、左足が破壊されたミケランジェロのダビデ像を前に「これは救えたが(ヴァチカンの)ピエタ像は破壊されてしまった」「(スペインの)ベラスケスは数点残ったが、ゴヤはわずか2点。プラド美術館は立ち直れん」と嘆いた。そう会話をする彼らの背後にはピカソのゲルニカがあった。主人公は「100年後は人類がいないのに誰がこれを見る?保存に何の意味がある?」。文化相「いいか。俺はそういうことは考えないようにしている」…何とも切実な言葉だ。BGMはキング・クリムゾン、ロンドンの空にはピンク・フロイドの“空飛ぶ豚”が浮かんでいる。この人類史終了直前の世界観!目まいがしそうだ。 主演のクライブ・オーエンも素晴らしい熱演を披露。彼は数年先にオスカーを獲るんじゃないかな。作品としては前述したように「主人公の知り得た情報」しか描かれないので、人類が不妊になった理由は謎のままだし、登場する“組織”の正体もハッキリしない。本作を批判する人は「背景が薄っぺらい」と叩いているけれど、映画が描こうとしているのは時代背景の解説ではなく、「生命そのもの」が持つ崇高な輝きだ。物語のクライマックスについては下記ネタバレで! (以下ネタバレ文字反転)→最も感動したのは戦闘中に赤ちゃんの泣き声を聞いた兵士達が雷に打たれたように固まり、全員が射撃を止めるシーン!廃墟の中で兵士が跪き道を開ける場面に激涙。一人の赤ちゃんの命が、兵士、ゲリラ、市民たち、全員の心の奥の人間性を呼び覚ます。この映画はあの数分間の為だけにあると言っても過言じゃない!そして、体を張って若い母親を守った元妻、看護婦、難民の3人の女性たち。新しい命を前にした女性の強さに脱帽。僕の友人は「まばたきするのも惜しかった」と語っていたけど、その気持に全く同感! ※ヴェネチア国際映画祭(2006)技術功績賞 『トゥモロー・ワールド』日本版劇場予告編 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.05.10 05:00:13
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