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私の座右の書の最右翼にあるのがジョージ・オーウェルの「1984年」
内容は極左的なものだけどね。 そんなことはいい。 この「1984年」が新訳になってハヤカワ文庫より出版されていた。 一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)/ジョージ・オーウェル ¥903 Amazon.co.jp 学生時代、オーウェルの「動物農場」と「1984年」は何度も 繰り返し読んだものだった。 どちらも全体主義を風刺したもので、これらの本より思想的影響を多いに受けた。 そんな「1984年」を20数年ぶりに新訳で読んでみたけど、 昔と変わらず全体主義の恐怖感に襲われた。 「戦争は平和なり」 「自由は隷従なり」 「無知は力なり」 これは、独裁政党ビッグブラザーのスローガン。 敵国との戦争により国民の士気を高める。 国民からすべての権利を奪い、党への服従を促す。 真実は決して国民に教えない。 これらのことが完全に行われると永久的な全体主義がまかり通るのだ。 この虚構に気が付いた主人公のウィンストン。 そのウィンストンを党へ服従させようとするオブライエン。 この2人のやりとりに鬼気迫るものがある。 「自由とは2+2が4だと言える自由だ。」と言うウィンストンに対し、 「2+2は3にもなり、5にもなる」と拷問を与えるオブライエン。 「党は人間の心まで変えることはできない」と訴えるウィンストン。 「党は人間の心を変えることができる」と言うオブライエン。 結末の恐ろしさや寒気がするほどである。 オーウェルが1948年に書いた「1984年」 年号の4と8を入れ替えて、将来的にこのような全体主義国家が成り立つことを 杞憂して描いた物語。 ちょうど、ソ連の独裁者スターリンが恐怖政治を行っていた頃。 中国では毛沢東が文化大革命を行い、朝鮮半島では南北が分裂した頃。 共産党による独裁がどのような国家を作り上げるのか警鐘を鳴らしている。 現在の北朝鮮を見れば予言した通りの国家が成り立っていることがわかる。 しかし、共産主義の国だけのことではない。 アメリカを見ても同じようなことが言えるのではないだろうか。 他国に戦争を仕掛け国民の士気を高める。 その一方でFBIやCIAによる国民の監視、人権侵害。 為替レートや株価、またGDPやGNPの発表ですら真実かどうか疑わしい。 「1984年」から学ぶことは国家の声明、マスコミの発表、隣人の発言 すべてが真実かどうかは疑わしいということ。 目に見えるものですら真実であるかどうかは疑わしい。 しかし、それを真実だと真に受けて過ごすことが最も平和に暮らせるのだろう。 「自由は隷従なり」「無知は力なり」なのだ。 真の民主主義国家を求めるなら国民全員がウィンストンにならなければならない。 民主主義とは与えられるものではないということ。 だからといってどうすればいいのか悩むところだけど。 日本でも官僚や政治家が差し出す数字や声明には国民には知られざる闇の部分が あるのかもしれない。 しかし、とりあえず2+2が4だと言えるだけまだマシな国なのだろうか。 村上某の「1Q84」を読むくらいならオーウェルの「1984年」を 是非とも読んでもらいたい。 ←くだらないことつぶやいてます お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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