珈琲館通りくちひげがご自慢の この店のマスターは いつもコーヒー入れる前に 2~3度撫でる いつから伸ばし始めたのか 常連も知らない ツケといて と言って帰るアイツに アイヨと笑ってこたえる 病気なんだよホント マスターのお人好しは 気にっ入ってた長い髪を バッサリ切って あの娘がやってきた どしゃ降りの日 おせっかいな野郎どもが 理由(ワケ)を聞くけど 気が向いただけと笑って 砂糖抜きのコーヒー 「早く忘れろよ」なんて マスター ほらまた 泣かせちまったじゃないか 不器用なだけがとりえの 一文無したち 色あせた夢を 後生大事に抱き続ける 徹夜明けの灰皿と カラになったボトルを ひとり片付けながら くちずさむ ひと昔まえの流行り歌 誰かが言ってた マスター みんな アンタの 背中が好きだと 戻る |