ベル姉の鯉する日常ときどき妄想

家政婦は見た(その6)

2003/06/13/(Fri)

とにかくこんな日はテツトにみつからないようにしないと。

ボクは勝手口から、裏庭を抜けて自分の部屋に入ろうとした。
まったくなんでこんなことしないといけないのかなぁ。
今日はすごくいい日だったのに。(いや、だからなんだけど)
なにしろ今日6月12日、名古屋龍組との出入りでボクはすごい手柄をたてたんだ。
三振に斬ってとったヤツらは13人、最後まで主役の舞台を譲らなかったんだ。
(まぁその最後に返り討ちにあっちゃったけど。まぁかすり傷程度だな、ありゃ、がっはっは♪)
これで上のほうに抜擢されるのも時間の問題だ。
あ~長かったなぁ。
でも下は今、なんと優勝マジックが出てるんだぜ!
このお屋敷内ではここ10年以上も死語に近かった言葉だ。
お兄さんたちは横浜:濱星組と逆首位争いをしてるっていうのに(あ、これはひとり言だよ)(^^;
と、いうことはこのおいしい時に上に上がると一転すご~~く淋しい状況になるってことだな。
う~~ん考えちゃうな~。なんかとっても複雑(^^;


「おい、なにブツブツ言ってんだ?」
ふいにぬっと目の前にテツトが現れた。
「おい、タカヤ~~~!!」
と言いながらボクに抱きついてくる。
にか~っと笑っている。
きた~~~!(これだよ、これがイヤだったんだ~)

「オマエよ~、今日すごい活躍だったらしいじゃね~か、よーよー!」
と言いながら羽交い締めしてくる。
「え?い、いや、それほどでも~、あ、あは、あはは」
と顔では笑ってるけど痛いんだってばっ!
「13奪三振だって~~?このこのっ!」
と言いながらボクの腹にパンチを入れてくる。
「これで親父から声をかけられるのはキマリだな、コイツこいつっ!」
とボカスカとだんだんパンチがきつくなってくる。
テツト流の手荒な祝福だっていうのはわかってるんだけど、半分本気だからなぁ。


テツトはボクに対して他の誰よりもライバル意識が強い。
4年前いっしょにこのお屋敷にきたときから負けん気の強そうなその目はボクを追っていた。
でもまっすぐなその視線はむしろ気持よかった。
3ヶ月ちょっとボクのほうが誕生日が遅いけどコイツは弟みたいなところがある。
世間ではボクのほうが弱いみたいに思われてるようだけど、これでもしっかり押さえてるとこは押さえてるんだ(笑)

「こら~~!いい加減にしろ!やり返す!」
と言ってボクはおおい被さっていたテツトを反対に押し倒して思いっきりくすぐってやった。
「きゃはは♪おい、やめろ、やめろってば、きゃはは♪」
「ほんとは悔しいんだろ、このこのっ!」
「うるせ~、すぐ追いついてやら~」
「あいかわらず負けず嫌いなヤツだな」
「うるせ~ってんだよ、あ、ソコだめ、くすぐったい、きゃ~♪」


そのときパッと部屋の灯りがついた。
「な、な、なにやってんですかおふたりともっ!」

家政婦さんだ。
なにやらすごくうろたえている。
どうしたんだ?

「まぁいやだ!おふたりでベッドの中で抱き合って、、そ、そ、そんなことして」

「は?」
ボクとテツトは顔を見合わせた。
なにやらとてつもなく勘違いをしてるようだ。

そりゃ、たまたまベッドの上だけどさぁ。
それがなんなの?

「や、やっぱり世間の噂はほんとうでしたのね、まぁイヤだ」
と言いながら顔を赤くしている。

「でも、でもね、そう、、いいんですのよ、別に悪いことしてるわけじゃなし、愛のカタチもいろいろありますものね」

(なんか、変な方向に話がいってるぞ)

「え~え~わたくしは理解者でございます。差別と偏見には断固として立ち向かっていきましょう!」

「はぁぁぁああ?????」
呆れるボクたちを尻目に家政婦さんはまだひとりで盛り上がっている。

「お屋敷の中の禁断の愛、、、な~~んちゃって、ぐふぐふ、まるで往年の栗本薫さんの小説のようですわ。
わたくし昔からファンで、、ソレがこんなに間近で見れるなんて、、きゃぁきゃぁ」

だめだ、こりゃ。
前からこのひとはすごいミーハーだと思ってたが、上にバカがつくほどだった。

「クリモトカオルって誰だ?」
とテツトが聞く。
「さぁ、家政婦さんが好きなくらいだから昔の作家かなんかじゃないの?ボクたちには関係ないよ。
さぁ寝よ寝よ。なんだか疲れちゃった」
「そうだな、オレも急に眠くなってきた、ふぁ~~」
「おい、オレのベッドで寝るなよテツト、自分の部屋に戻れよ!」
「いいじゃねぇかよ、もうめんどくせぇ」
「ま~ったくもう、いつもこれなんだから、そんなにくっつくなよ、狭いっ!」
ダメだ、もう爆睡してる、やれやれ。

まぁいっか、今日はいい日だったんだ。
いい夢が見れそうだ(*^o^*)


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