ベル姉の鯉する日常ときどき妄想

文芸部系!選手名鑑その2

文芸部系!選手名鑑 (2004年版) (2005年版はこの下に)
ミステリー劇場:消えた監督(その2)


最新更新5月14日 0時27分

あるマンションの一室でこんな会話がなされていた。
「今のところ誰も不審に思ってないようですよ、B姉さん」
「世の中には自分に似た人間が三人はいるっていう話しだけどこんなに簡単に『影武者』がみつかるとは思わなかった。嬉しい誤算ではあるね、ドクター○ぶさん」
「これからも見破られずにうまくやっていけますかねぇ」
こう言ったのはドクターと呼ばれた人間とはまた違う声のようだ。
「ご指名されてはりきってやってるから大丈夫でしょう。なにしろ現役時代から熱狂的な山本浩二ファンだったらしい。彼の身代わりになるなんてファン冥利につきると言ってたから。ほんとになにからなにまで良く似ている。心配には及びませんよ、まぁー○さん」
監督はドクターが差し出した睡眠導入剤(もちろん本人には栄養剤と偽っているが)を飲みすやすやと眠っている。
「三村さんの平等主義が嶋をこんなに生き生きと活躍させることになるとは、予想以上だった。彼に主導権を握ってもらってよかった」
「ほんとですねB姉さん」ドクターは心底そう思う。

あのピーコサングラスをかけて内田コーチと並んで(ドクターに言わせると彼のほうはおすぎだそうだ)ベンチに立つ『山本浩二の影武者』の演技はまったくアカデミー主演男優賞ものだ。
「特に『左打者には左ピッチャー』とナントカのひとつ覚えのように繰り返すところを忠実にやってのけるあたりは、なかなかですよ」
確かにドクターの言うようにそんな気の効いたことをときどきする。しかし、これが勝敗の行方を左右する大事なときでは痛しかゆしである。
しかしファンやメディアや、いやそれ以上に選手そのもを騙さないといけないのだ。
敵をあざむくにはまず味方からとは遠く戦国時代からの定石であるが、ここに集まっているプロジェクトのメンバーには、そのために良心の呵責にこころが疼くことがあることもまた正直なところである。

「警察の捜査のほうはどこまで進展してるんでしょうね」とドクター。
ベテラン刑事(デカ)が選手に聞き込みを相変わらず続けている。
「まったく無意味だということがわかってないようっすよ。選手の中に犯人がいるわけないのに、わかってないっすねぇ」心底あきれて、まぁー○と呼ばれたひとが言った。
「まぁ。いいでしょう。時間稼ぎにはむしろもってこいです」とこの仲間のリーダーなのかB姉さんは言った。くだんのこの姉さん、あまり選手の事情に詳しくないデカにときどきミスリードな情報を与える。オバハンは恐ろしい(爆)

「ここにきて緒方がやっと全開ですね。ほっとしましたよ」
ドクターが言うその選手に実は今まさにデカの事情聴取が行われようとしていた。

つづく

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

そして時は流れ2005年3月

は?

まぁ細かいことはさておいて(^^;
2004年度の選手名鑑は時間切れとあいなりましたため、仕切りなおすことにいたしました。勝手ながらお許しを。えぇ、ほんとに素人のやることゆえ大目にみてちょんまげ(笑)

なお、2004年度の「文芸部系選手名鑑」のトップはこちら

    2005年度 文芸部系 選手名鑑

         ミステリー劇場
           赤い刑事(デカ)の事件簿



「デカ長うどん食いませんか、ここのけっこう美味いんですよ」
部下が、3月の上旬にしては暖かいがやはりそれでも冷える球場の座席で体をゆすりながら言った。
カープうどんか。わたしも食ったことがある。確かに美味い。
「オレ買ってきますんで」
部下は走っていった。

マウンドには去年より一層の成長が期待されている河内貴哉が上がっている。
しかし、試合が始まるや否や彼は「花火師」と化した。
派手に打球がスタンドに打ち上げられる。
「ボクの今年のテーマは強気にインサインドです」
テレビのインタビューでそう答えていた。
ぼんぼんのような育ちのよさがにじみ出る彼も今年は孤高のマウンドで独り立つ強さを身に付けたのだろう。
と思っていたが、この脆さはどうしたことだ。
しかしこのままでは終わるまい。もう6年目だ。
しなやかな左腕が公式戦でその力を遺憾なくみせつけることを願ってやまない。

3月5日、広島市民球場で今季初の試合。
内野席に陣取っているがこれはわたしの「仕事」なのだ。
昨年、結局捕まえるどころか足取りさえ掴めなかった「監督拉致事件」のホシ。
今、試合中テレビの取材を受けている監督は「影武者」だというのが極秘情報としてまことしやかに一部のファンの間で囁かれている。

確かにベテランに固執していた以前(つまり本物の監督)と違い今年は若手を積極的に使うようだ。
それにもまして「守りの野球、足を使う野球」と言うだけは言っていたが、いざ采配となると、「ど・こ・が・じゃ!!」とファンからつっこまれていた「本物の監督」と違いこの影武者は紅白戦、オープン戦と足を使いまくっている。

それならば、



それで、、



いいんじゃないか?ぶっちゃけ。

と一瞬でも思ったことにわたしは恥じた。
犯罪を見過ごすつもりか?
心を鬼にしてわたしはホシを捕まえなければならない。

それにしても今年の新井貴浩の元気の良さはどうだ。
わたしが昨年聞き込みをしたとき彼はもがいている最中だった。
それでも人のいい彼は気を使い明るく振舞っていた。
人間性は誰もが賞賛する。
この試合9回裏最大の山場で打席に上がった彼に球場内の興奮は最高潮に達した。
やはり絵になるヤツだ。

体がまた一回り大きくなった嶋重宣。大きくなったのは体だけでなく、人間性、頭(思考)野球そのものに対する哲学もだ。顔に似合わず?クレバーだ。あえてそれについて寡黙に徹する選手もいるが、彼は饒舌だ。
饒舌だがイヤミじゃない。
全体から滲み出るおおらかさ、親しみやすささもファンがそれを許す要因だろう。


「デカ長~~っ!!」
はぁはぁと息を切らせながら部下が帰ってきた。
そんなに走ってはうどんがこぼれる。
「居ましたよ主犯と思われる女が」
「え?」
「去年監督を拉致ったグループの主犯の女ですよ」
「見に来ていたのか。さすが若鯉マニアだ」
「感心してる場合じゃないですよ、どうします」
「そうだな」
「はい!」
「まず、うどんを食おう。伸びる」
「はぁ~?」


つづく


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