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加藤浩子の La bella vita(美しき人生)

January 20, 2019
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今日の午前中は、来月新国で世界初演を迎えるオペラ「紫苑物語」のキックオフ会に。作曲、台本、指揮、演出、監修者が勢ぞろいしてコンセプトを説明するのに立ち会い、その後ちょっとだけ音楽稽古を見せていただきました。
 「紫苑物語」の原作は、石川淳の短編。私もオペラ化が決まって初めて読んだのですが、(前も書きましたが)なんとオペラ効果で絶版寸前だったのが増刷が決まったそうです。
 まず全体のプロデューサーでもある指揮の大野和士さんが、物語のテーマや音楽のコンセプトを解説。中世日本の物語ですが、テーマはずばり「芸術家の生涯」。主人公の宗頼は、歌人の家に生まれ、才能がありながら父と仲違いし、「弓」の道=殺しの道に走るのですが、それはつまり「自分とは何者か」と追い求めている。自我、妄執の世界。その自分探しの過程で自分によく似た仏師の平太と出会い、彼が刻んだ石仏を射る。その瞬間、現実が崩落し、宗頼も飲み込まれて命を落とすが、あとに「鬼の歌」と呼ばれる風のような歌が残る。それが宗頼が残した「作品」。自分を捨ててはじめて才能が花開く、という結末。とてもオペラにふさわしい内容、とのことでした。
 音楽的には、「日本のオペラはどうしても一人語りが多くなってしまうので、オペラの醍醐味である重唱を入れたい」とのことで、二重唱、三重唱、四重唱などが散りばめられた、オペラティックな作品になっているとのことでした。その点で「革命的作品」だそう(大野さん)。(音楽稽古では四重唱をちらりと聴かせていただきました)
 作曲の西村朗さん。台本の初稿ができたのが2017年の9月。それから14ヶ月、1日9時間作曲に集中した(すごいですね。でも作品を創るってそういうことですよね)。今時のオペラにはめずらしい「ライトモティフ」も入れたが、これは人物が個性的なので、ライトモティフが立ち上がってくる側面があった。19世紀的な手法で自分ではやらないと思っていたのだが。。。自分の作品の総決算、とのことでした。ジョークを交えながら、西村節。
 台本を書かれた詩人の佐々木幹郎さん。作品について、石川淳について、たいへん面白いお話。「石川淳は巨人で、日本中世文学とかフランス文学がもう体に入っていた」「「紫苑物語」は短い作品だが、石川の、人間への思いや、人を殺すということに対する思い、戦前戦中への思いがもり込まれている」「「紫苑」の物語の背景は後醍醐天皇の時代。人間と獣が同じレベルで生きている時代。今は見えない生き物がいる世界」「主人公は歌の世界に反逆して弓矢の世界に入った。人を殺すということがどういうことかわかり、どんどん殺すようになった。けれどその先にある自分の姿、山の向こうにある自分の姿が見たくなり、平太に出会う。平太は仏=人間の手が届かない=ものを創るのが仕事。宗頼はそれを見に行き、弓で射たらそれが崩落し、「歌」が残った」。「殺すことと作ることは表裏一体。芸術家とは何か、人を殺すとはなにか。これを分解してオペラにするのは至難の技だが、自分にとっては楽しい作業だった」
 監修の長木誠司さん。構想は6、7年前から。原作をオペラの論理にするため、たとえば原作では醜女のうつろ姫を美貌にした。結果として19世紀的作品になったが、それはオペラが一番面白かった時代でもある。石川淳の原作がオペラになるのは初めてで(たとえば三島はたくさんある)その点でも画期的。新国は、こういう創作オペラを20年前にやるべきだった。
 演出の笈田ヨシさん。なんと85歳!矍鑠です。「日本人にあう現代の音楽劇を創るべき。歌手の方は、これまでのオペラの伝統を忘れてどこかにいく努力をしてほしい。この作品には若者がどうやって暴力にいくかが描かれている。暴力と創作の行き来がテーマになっている」
 おひとりおひとりの解釈、意気込み、それが一体となって新しい総合芸術が生まれつつある、ということがよくわかりました。
「紫苑物語」初日は来月17日です。詳細は以下から。

 紫苑物語






最終更新日  January 20, 2019 05:10:36 PM
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