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加藤浩子の La bella vita(美しき人生)

April 1, 2007
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カテゴリ:音楽
 ここ数日、「アイーダ」の解説本の仕事に没頭していたのだが、この種の本に不可欠な「CD、DVD紹介」をするために、色んな録音、録画を改めて視聴しなおしてみて、はたと思った。
 最近の録音になればなるほど、イタリア人歌手が少なくなっているのである。それも、南米とかロシア、東欧とかそのあたりの出身の歌手が多いのだ。

 とても古い例で恐縮だが、NHKがやっていた「イタリア歌劇団」となると、当然だがイタリア人ばかり。デル・モナコ、シミオナート、コッソット、トウッチ・・・
 少し時代が下ると、パヴァロッティ、キアーラ、マルティヌッチ・・・そしてドミンゴ、カバリエらのスペイン勢が混じり始め・・・2000年のアーノンクールの指揮したCDになると、ボロディナ、ガラルド=トマス。イタリア人ではスコーラが加わっているが、軽い声の彼にラダメスは苦しい・・・。

 イタリア人歌手の力が落ちている?でもそればかりではないような・・・

 2、3日前、ミラノに住んでいる日本人テノール歌手と食事をしていてその話になったら、
 「もうイタリア人にとって、オペラ歌手って以前のように魅力のある職業じゃないんですよ」
 といわれた。
 「時代も変わったし。前はもっと貧乏だったから、それから抜け出すためにオペラ歌手、っていうのもあったでしょ。
 今はそういう構造からいうと、東欧、ロシア、南米なんじゃないですか」
 
 そういえば、あのネトレプコもロシアだし、私がひいきのオテロ歌手ガルージンもロシア。このあいだスカラ座のシーズンオープニングの「アイーダ」で、アイーダを歌ったウルマーナもウクライナだったかな。
 スカラ座の「アイーダ」といえば、ダブルキャストのセカンドキャストは中国、韓国名が多かったけれど・・・・

 テノール歌手氏が続けて言うことには、、
 「イタリアが「音楽の国」じゃなくなったのも大きいですよ。
 昔はみんなオペラよく知ってました。たとえば今の60代以上くらいなら、「トロヴァトーレ」なんかみんなおぼえていて、それこそ酔っ払って歌ったりしてますもん。
 50代以下はそれはないですね」
 なるほどねえ。

 もうひとつ、彼が言っていたのが、「聴衆」のこと。
 「劇場に来るお客はジイチャンバアチャンばかりだから、昔の歌手のことをよく知っていて、若い歌手がそれに比べて見劣りすると、「昔はカラスが」とか「昔はコッソットが」とかやるでしょう。若い歌手はやりにくいですよね
 外国人ならまあ、目をつぶるかもしれないけれど」
 
 たしかに、そんな難しい聴衆の相手をして必死にならなければならないなら、オペラ歌手なんてばかばかしくてやってられないかもしれませんね。今は他に楽しいこといっぱいあるし。

 話していて、以前読んだ中村紘子さんの本に書いてあったことを思い出した。
 ピアニストをはじめ音楽家という職業は、とにかく努力はいるし不安定だし大変な仕事。アングロサクソンを初めとする豊かな国のひとたちはそんな面倒な?ことは東洋人やロシア人に任せて、自分は医者か実業家かなんかになって、サポートするほうに回る、というような内容だったと思う。
 日本も次第にそうなるだろうか。大相撲の世界なんか、同じことが起きていますよね。朝青龍、白鵬、琴欧州・・・

 いい演奏家の出る条件は、必ずしも「伝統」ばかりではないようで。






最終更新日  April 2, 2007 11:54:07 PM
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