カテゴリ:音楽
数日前、ある方から、かつてNHKが主役級にイタリア人歌手を呼んで行っていた「HNKイタリア歌劇団」で上演された、「カヴァレリア・ルスティカーナ」の録画をいただいた。
1970年代、たしかドミンゴがオペラ初来日で、「カヴァレリア」と「道化師」の2本を歌った時の映像である。 自慢話ながら、まだ??歳だった私もナマイキにも行かせて貰い、感激した覚えがある。とくに「カヴァレリア」での、ドミンゴとコッソットの共演はすごかった・・・ その記憶があったので、「ダビングしましょうか?」と言われて、一もニもなくうなずいてしまったのでした。 劣悪な映像ながら、そして出だしのオーケストラや合唱の不ぞろいぶりには???と首をひねりながら(最近の日本のオケはうまくなったんだな、と実感)、コッソットとドミンゴの歌唱はさすがの迫力。とくにコッソットの眼球をむき出しての全身全霊ぶりはすさまじく、オケがひきずられてよくなるのが手に取るように分かった。 観ながら思い出したのが、先日お会いした演出家の粟國惇さんがいつか言っていた言葉。なぜ最近はこんなに演出家の力が強いのか?という話になったおり、「今は力のある、そのひとが何か言ったらみんなを納得させられる歌手や指揮者がいなくなってしまった」という発言があったのだが、なるほどコッソットくらい歌の力を見せ付けられる歌手は、今やいなくなってしまったなあ、と改めて思ったのだった。 しかしそのコッソット、イタリアではもう出ていないのに日本にさかんに来るが、この頃の録音を聴いてしまうと今はとてもとても・・・声が大きいだけ・・・なんで日本人って「昔の名前で出ています」みたいなのが好きなんでしょうか・・・ ところで、先月シチリアに行ったとき、パレルモのマッシモ劇場のガイドツアーに参加したのだが、そこで芸術監督のマリアーニ氏の挨拶があった。 その時彼が、この6-7月の日本公演で「カヴァレリア」と「シチリアの夕べの祈り」についてふれ、「両方ともシチリアならではの作品」と強調していたのを思い出した。 「シチリアの・・・」は、パレルモで起こった「シチリアの晩鐘」と呼ばれる、支配者フランスに対するシチリア人の反乱事件を題材にしたものだが、これは「シチリアの歴史」、そして「カヴァレリア」は、「シチリア人の魂」なのだという。 「「カヴァレリア」で描かれる名誉と愛、これはシチリアではとても大切なものなのです」 口調にがぜん力が入ったのが印象的だった。 個人的には、上演の機会の少ない「シチリアの・・」が楽しみなのだが(指揮も近年大活躍のランザーニだし)、やはり「カヴァレリア」も楽しみだなあ、と改めて思ったことでした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
April 3, 2007 11:26:09 AM
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