加藤浩子の La bella vita(美しき人生)

2016/01/15(金)18:31

ようやくベルカントの王道が!新国立劇場新シーズンラインナップ発表

 新国立劇場の新シーズン(2016−17)のラインナップが、今日発表になりました。 新国立劇場のサイトにはすでにアップされています。(こちらはオペラ) http://www.nntt.jac.go.jp/release/detail/160115_007941.html  シーズンの最初と最後が、「リング」の第2作と第3作(新制作)だというのはきいていましたが、個人的に一番嬉しかったのは、新制作3本の残り一本が、ドニゼッティの「ランメルモールのルチア」だということでした。うれしいというか、「ようやく」または「やっと」という気分が近いでしょうか。以前から何度かここでも書いているように、新国立劇場の公演ラインナップに(今世界では「旬」の)ベルカントものの上演が少ないことが、不満だったからです。ベルカントの王道レパートリーといえる「ルチア」も、初代の五十嵐監督時代にやったきり、10年以上上演なし。セットも破棄してしまったとききましたので、残念に思っていました。 それが、ようやく、2度目の新制作です。「満を持して」であったらいいなあ、と思います。実際、キャストはなかなか魅力的。ヒロインのルチアには、ベルカントの若手プリマとして大活躍中のオルガ・ペレチャッコ。指揮は、イタリアの若手指揮者のなかで注目されているひとりであり、(そしておそらくベルカントものにかなり適性がある)ジャンパオロ・ビサンティなのですから。(イタリアの若手といえば、今シーズンの再演ものの「アンドレア・シェニエ」を振るビニャミーニも注目です)。また、エンリーコにはザルツブルクでドミンゴの代役で「トロヴァトーレ」に出るなどこれも大活躍中のアルトゥール・ルチンスキが出演します。 ベルカントものといえば、再演ですが「セビリヤの理髪師」には、 伯爵役にマキシム・ミロノフが登場。注目のロッシーニテノールのひとり。柔らかな声と高い技術、王子さまのような外見も魅力的です。新国の「セビリヤ」では、伯爵の大アリアを歌わない歌手がしばしばキャスティングされますが、ミロノフなら歌ってくれそうです。 「セビリヤ」以外の再演は、「ボエーム」「フィガロ」「蝶々夫人」「オテロ」「カルメン」とポピュラー作品のオンパレード。個人的な注目キャストは、「フィガロ」のスパニョーリ(伯爵)とヴェルバ(フィガロ)、「オテロ」のヴェントレ(オテロ)、ファルノッキア(デスデモナ)、ストヤノフ(ヤーゴ)、「蝶々夫人」の安藤赴美子、「カルメン」のジョルダーノ(ホセ役。ジョルダーニではありません)、「ボエーム」のフローリアン(ミミ)。(ワーグナー2作品はもちろん揃っていますが、詳しい方があちこちでお書きになるでしょう) 指揮者も聴きたいひとが少なくありません。「ボエーム」のアリヴァベーニ、「カルメン」はアベル!「蝶々夫人」はオーギャン、「オテロ」はカリニャーニ、「フィガロ」はトリンクス。それぞれ得意な分野で活躍している面々が揃っています。  「リング」2作とベルカントという新制作、それ以外はポピュラー作品をそれなりにうなずけるキャストで。次シーズンの新国立劇場のオペララインナップは、オペラハウスのひとつの「王道を行く」という印象を受けました。     

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