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加藤浩子の La bella vita(美しき人生)

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May 2, 2019
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面白すぎる。
 ご存知、博覧強記のお2人、片山杜秀&山崎浩太郎が「平成」30年間のクラシック音楽界の推移について語りつくした1冊、「平成音楽史」(アルテスバブリッシング)。片山さんはご存知の通りほんらいのご専門は政治ですから、その切り口からの知識も加わってほんとに面白すぎる。平成が始まった1989年は、「ベルリンの壁が崩れた」歴史の転換点だった年、というところから始まり、「ペレストロイカはソ連を持たせるためのものだったのに、ゴルバチョフがラディカルすぎてソ連が崩壊した」(片山)という出だしでまず目からウロココでした。そうだったのか!「ゴルバチョフの大失敗」。えー、ノーベル平和賞なんですけど。
 他の国だってうまくいっているわけではなく、「旧東西ドイツとスラヴ系諸国の関係は、大正昭和初期の日本本土、朝鮮半島、満州みたい」なんてところもさすがです。で、片山さんの予言「東側の崩壊に25年遅れて西側が崩壊する」。。。。
 そして3.11を経験した今の日本は、(多くの方がいっていることですが)何が起きるかわからないこともあって「刹那主義化」した。先のことを考えても仕方ない。国土強靭化って言っても不可能。「とりあえず2020年のオリンピックのことだけかんがえておこう」というニヒリズムが蔓延している。できないことばかりだから、怒りたくても怒りきれない。今の安倍政権なんて昔の日本人の健常な感覚を持っていたら4、5回総理大臣が変わっていてもおかしくないのに変わらないのは、「もうどうでもよくなっているから」。。。。すごくよくわかります。
 さてそれで音楽の話はもちろんそれ以上に面白いわけで。CDブームに始まり、マーラー・ブーム、古楽ブーム(古楽はグローバリズムへの反撃。だからアメリカでは発展しなかったというのはよくわかります)、アダージョ・カラヤンの大ヒット、佐村河内事件などをあげつつ、その背景にあるものを見ていくわけです。ひとつの筋として、「教養主義の崩壊」が語られているのはよくわかります。クラシック音楽が権威でなくなった。評論もサブカル的なものが出てきた。宇野功芳はサブカルのはしりかつ司馬遼太郎!に似ている(なるほど)。それはそれで面白いんですが、一般社会に浸透していた教養主義がなくなると、橋下徹がやったようにクラシック音楽の予算がかんたんにカットされてしまい、もともと満員になっても赤字なんだから補助がなければもたない、その補助がかんたんに切られるという状況がこれからもっと起こるだろう。それはたしかにそうなっていくでしょうね。生き残りは厳しい。
 とはいえ音楽ファンには楽しい状況もあるわけで。たとえば古楽は、それまではつまらなかった古典派以前の音楽を楽しくした、「きわきわにしてしまった」(片山)。「きわきわ」っていう表現がいいですね。いやあ古楽好きです。そしてネットの発達でレアな曲、演奏がかんたんに聞けるようになり、そういう意味では「幸せ」(片山)。
 
 そうそう、オウム真理教がやっていたオーケストラ「キーレーン」の話もでてきました。今振り返るとありえないみたいな話ですが。
 平成30年。短いようでこれだけのことがあった。そしてその背景にはいつも「時代」があった。時代と音楽を振り返り、これからを考えたい方必読です。片山さんの講演会はなんどか行きましたが、読んでいて、熱が入ってくると立ちあがらんばかりに弁を振るい続ける姿が目の前にうかびました。
 あっ、クルレンツィスは「オイルマネー」。そんな噂はきかないでもなかったですが、オイルマネーというからなんとなく中東かと思っていたら本拠地のロシアのペルミで石油が出るんですね。知らなかった。あとドゥダメルもオイルマネー。これはいちおう業界?にいながら知らなかったです(疎いですね)。
 面白すぎる。





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最終更新日  May 2, 2019 02:12:35 PM


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