カテゴリ:カテゴリ未分類
この3月、ロンドンのロイヤルオペラで、今シーズン随一の話題公演となった「運命の力」がプレミエを迎えました。カウフマン、ネトレプコ、テジエ、フルラネットら豪華スターにパッパーノの指揮で、前評判も上々。
現在、「ロイヤルオペラシネマシーズン」として、映画館で上映中ですが(といっても明日までです。。。前日のアップですみません)、3月には現地公演を観ることができました。 その時の感想は公演レポートとしてアップされています。 https://spice.eplus.jp/articles/235641 一方で、この週末に映画館で再見し、いろいろ新しい発見もありました。 まず、ライブビューイング上映につきものの、幕間のインタビュー&解説。ロイヤルの場合、METと違って、現場で歌手や指揮者に幕間インタビューは行わないようです。歌手や指揮者のコメントや解説はあらかじめ録画。まあそのほうが、アーティストは楽ですよね。また、肝心なことがじっくりきける、という利点もあります。 圧巻は、指揮したパッパーノがピアノを弾きながら行う音楽解説。テーマの変形、オーケストレーションの雄弁さなどを手を替え品を替えて解説。最後に「ヴェルディはとても信仰深いひとだった。そうでなければこの作品は書けない」と言い切ったのに、深くうなずいてしまいました。 彼の指揮も実に素晴らしいもの。雄大な旋律がある一方で、登場人物の気分や状況がどんどん移り変わっていくようすが音楽にこれほど明確に、くっきり刻まれていることを教えてくれた「運命の力」の演奏は初めてです。「運命の力」って、だれてしまうことがしばしばあり、つまりそれは作品に欠陥があるからだ、というような発言も見かけたことがあるのですが、パッパーノの指揮で聴いたらそんなことを言うひとはまずいないのではないでしょうか。だれちゃうのは、この作品と格闘できる力が備わっていないからですね。つまりはたいへんな作品であり、そのすばらしさを引き出すには、音楽と言葉の深いところまで降りていかなくてはならない。パッパーノはそれができるひとだったのでしょう。 合唱がこれほど多彩だと気付かされたのも、今回が初めてでした。 歌手では改めてカウフマンに瞠目しました。前より胸が厚くなり、響きかたが立体的でパワフルです。現地ではテジエもカウフマンに引けをとらないと思ったのですが、やはりカウフマンのほうが「力量」という点でひとつ上かもしれない、と思い直しました。 問題は尺の長さと上演の時間帯。夜間の時間帯だと19時開始で終映23時40分!。これではきたくとも来られないひとも多いでしょう。 ところで、話は飛びますが、以前、クルレンツィスが「運命の力」をやったらあうんじゃないかと思ったのですが、改めてそう思いました。彼、スピリチュアル系ですからね。ロシアで初演された作品だし、いつかやってほしいなあ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
May 29, 2019 11:20:07 PM
|
|