CATのアメリカ東海岸留学

2016/10/10(月)09:11

バンクーバーの事件にあえて苦言(その3)

(「バンクーバーの事件にあえて苦言(その2)」からのつづき) 彼女は観光ビザからワーキングホリデービザに切り替え、カナダに長期滞在しようとしていたようである。 「カナダ 観光ビザ ワーキングホリデー」で検索すると、入国審査の賢いクリア方法を指南する、若干怪しげなサイトが多数ヒットする。 「カナダで『観光→ワーホリ』に切り替える」 なぜ、ここまでいろいろな小細工をしなければならないのだろうか。それはとりもなおさず出入国管理の本来の主旨から外れた出入国をしなければならないからに他ならない。 日本人が海外で入国拒否にあうような入国方法をとることなどないだろうと思っている人も多いかもしれない。 しかし、カナダの出入国管理の現場を扱った「ボーダーセキュリティー」という番組では、まさに入国拒否をされる日本人も登場する。 「Border Security Canada Season 3 Episode 11」(動画は削除される可能性あり。) なぜそこまで無理をするのか。そしてそこまで無理をしたところで得られるものは、(運良く結婚相手でも見つけない限り)1年半のカナダ滞在と、日本帰国後の冷遇である。(違法滞在を続ける人もいるだろう。) 「アメゆきさん(その1)」 「アメゆきさん(その2)」 カナダで仕事を見つけて永住、などと夢を見ている人もいるかもしれない。それは否定しない。しかし、それを実現できる確率は極めて低い。 「永住権は魔法の杖?」 当然だが、現地の人にとって「英語ができる」というのは特殊能力でも何でもない。観光ビザ+ワーキングホリデーの1年半で身につけた現地の人に劣る英語能力を補って余りあるだけの能力は何か持っているだろうか。 たとえ永住権を持っていたとしても上記の条件はかわらず、ましてや就労ビザのサポートが必要な人材にそのような条件でもあえて興味を示す雇用主がどれだけいるだろうか。 もちろん運良く様々な巡り合わせからそのような夢を実現している人がいないわけではない。ただ、その極めて低い実現確率を踏まえた上で、そのような一歩を踏み出すかは、それはもう本人の判断に委ねるしかない。 ただ、周囲からの客観的な評価という現実を変えることはできない。 最終的に日本に戻ったところで自らの海外経験がプラスに評価されないばかりか、マイナス評価となってしまい、不平不満を言う人を何人も見てきた( 「エコノミーorビジネス」)。しかし、リスクを知りつつ海外に飛び出す決断をしたのは自分なのだから、それは自己責任であろう(「知らなかった」というのは下調べ不足ということで、それも自己責任)。 彼女は留学斡旋業者を使ったようであるが、そもそも個人的には良心的な留学斡旋業者など存在しえないとも思っている(「良心的な留学業者?」)。 留学斡旋業者や留学情報誌・情報サイトなどは、「客」を留学実行に誘導しなければならないという商売目的上(アリバイ程度に失敗例や注意点などに触れることはあるかもしれないが)留学の成功例しか提示しない。留学情報誌の編集者から「インタビュー記事を作るのに、留学成功者を探すのが大変」なんていう笑えない話も聞いた事もある。留学経験者にしても失敗を自ら語る者は少なく、結果として、世の中にはバラ色の留学成功例が氾濫している。この点にも十分注意が必要だろう。

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