李さんちのキムチ
以前、西麻布に住んでいた頃毎月のようにやっていた異業種人交友会“交遊空間”そこに建築家T氏が連れて来た大学院研究生、韓国人の李さん研究生と言っても妻帯者その李さんの妻君がキムチづくりの達人だった特に冬場に造ってくれる魚介類たっぷりエキスのキムチは絶品参加する時は会費代わりに洗面器一杯のキムチが常だったオカンと李さんの間ではそれが暗黙の了解だったがある日、李さんを紹介してくれた建築家Tから言われた「李さんは苦学生だから材料費を払ってやってくれ」いくら払えばいいのか判らず、李さんに訊くと「会費代わりだから、要らない。」と言う。(※韓国では会費制というシステムが無いらしい)建築家Tにその旨伝えると「遠慮してるんだ。その都度、五千円払ってやれ」ですと。。。今から二十年前の話物価はそんなに変わっていないとはいえキムチの材料に五千円は掛からないだろう第一、こっちから頼んだワケではない李さんの気持を汲んで応えてのことだったところが事情もよく判っていない新参メンバーがこっそり個人的に注文しやがったもちろん材料費を払うつもりだったらしいが商売で造っているワケじゃない李さんはお金は受け取らず「プレゼントだ」と言ったしかも皆の前で・・・こうなると他のメンバーが黙っちゃいないそりゃそうだちょっとやそっとの量じゃない「私も」「オレも」は当然の展開注文野郎はオカンの取引先営業マンで下手に注意も出来ず収拾がつかなくなり表向き、材料費を払って貰うことにした「お金を払わなきゃならないなら要らない。」ほざく他のメンバーああ面倒臭いったらありゃしない頑として受け取らない李さんの荷物にソッと封筒を忍ばせたすると翌日、烈火の如く怒りコールがあった「好意を踏みにじるなんて、もう絶交だ!」韓流ドラマでもお馴染みだが韓国人の喜怒哀楽はハンパじゃないお金を渡された事でプライドが傷ついたらしい一応、「オカンの分は戴くが、もう一人分はマズイ」と伝えた。すると「個人的好意だ」と突っぱねる「李さんはいいけど、他の人の手前、問題がある。」と言うと「オカンには関係ない。彼と自分の問題だ。」とまたまたつっぱねるだったら見えない処でやってくれという話でオカン主催の空間でカンケー無いは無い第一、なんでオカンが文句を言われなきゃならないんだ文句があるなら、その建築家に言えっつー話こっちだって留学生だからと気を遣って会費は一度も貰ってないのダ李さんは毎回、たらふく飲み、たらふく食べていた建築家Tは飲兵衛で飲み始めたら動かず参加した日は追い出すまで、いつまでも飲み続けた建築家T御一行様参加の月は毎回、大赤字だっただからキムチの材料費はオマエが払えと言いたいくらいだった今なら李さんと上手く付き合えたと思うけれどなんせ当時は二枚刃のオカンこっちにはこっちの筋や都合というものがあるいくら説明しても受け入れない李さんに疲れてしまった此処は日本だ郷に入れば郷に従えということわざを知らんのか他国で己の我をぶつけるんじゃない文句言われてまで付き合う気なんぞ、さらさら無いってんでそれっきり、これっきり・・・その後、数多くのキムチを食べたけど李さんちのキムチを超える味にはまだ巡り会えていないそんな昔の事を思い出しちまったのはコイツのせい↓ヒルズのスーパーで特価?¥298ちっとも「こくうま」なんかじゃない日本の漬物で言ったら「一夜漬け」っぽい味に深みがまるでない保存料が使われてないから賞味期限もめっちゃ短いそうだコレに牡蠣と海老を入れてみたらいいかもねでも…めっちゃ高くつくけどね~ディスカウント豚肉があったら“豚キムチ”でも作ろうかな