忘れたくない・・・『明日の記憶』
若年性アルツハイマーに犯された夫と彼を介護し支え続ける妻との交流を描いた物語。この物語の主人公は、渡辺謙演じる広告代理店勤務49歳のヤリ手の部長。プロジェクト成功に向けて、休みもなく忙しい毎日。その最中、徐々に症状が現れ始め、ついに検査を受けるのだが、医師の「若年性アルツハイマー」という診断を到底受け入れることができない。主人公は、そして妻はこの病気とどう向き合っていけば良いのか・・・。アルツハイマーというのは、本当に恐ろしい病気です。最初は、よくある物忘れから始まり、「あー、あの映画のタイトルなんだっけ?」「あー、あのメガネの人、なんて名前だっけ??」その後症状が進むと、約束の時間を勘違いしたり、同じモノを何度も買ってきてしまったり・・・。こういう映画は、自分と重ね合わせて観てしまいます。もし、私の夫がアルツハイマーになったら、主人公の妻のように、献身的な介護ができるだろうか。一生懸命介護しても、自分の事さえ忘れられてしまうかも知れない。それでも夫のそばにいられるのだろうか。逆に、もし私がアルツハイマーになったら、そのうち、夫のことも忘れてしまうのだろうか。それが一番恐い。できる事なら、夫の事は忘れたくない。忘れるとしても一番最後であって欲しい・・・。勿論、妻役の樋口可南子の演技も素晴らしかったです。先の見えない中、夫の回復を信じて励まし、懸命に介護を続ける妻の気持ちを考えるといたたまれなくなり涙が溢れてきました。観る人それぞれの立場でそれぞれの感想を持たれると思いますが、私は単純に、もっと夫と過ごす時間を大切にしよう、とそう感じました。