泉本 コーチの小部屋★泉本 竜太 (Ryu)私のページにようこそ。 ちょっと変わったクルマ好きです。 学生の頃からレースにも出ていました。 今回は私の趣味のホームページに書いていた記事をご紹介します。 へたくそな文章で読みづらいと思いますので先にお詫びしておきます。 レースというスポーツ性と思考、身体の感覚について言及しています。 私のこんな一面も感じ取っていただければ嬉しいです。 2005年10月9日のホームページ記事より(一部加筆修正) --------------------------------------- 2005年9月11日に行われたアルファロメオチャレンジ関東第3戦にエントリーしました。 この年はアルファチャレンジにフル参戦したかったけど、1戦、2戦がコーチングのトレーニングと日程が重なってしまって結局第3戦のみの出場となった。 去年と違って出場クラスはAR150というレース形式のクラス。このクラスになるとフルノーマルの競技車は皆無で皆さん車高は落ちてるしマフラーも変わってるしバケットシートも当たり前の世界。つまり性能の向上が前提のクラスである。 このAR150クラスでは車の差が歴然としている事とAR150の中でも細分化されたクラスがあってV6などと混走になるので目を三角にする出場者ばかり。 今回は、別の目的があって「緩める事」がドライビングにどう影響するかを実験する事である。どういうことか?というと先日コーチの為のボイストレーニングに参加したのだが、このワークショップの中で「緩める」事が身体的、精神的パフォーマンスを上げるという内容だったのだ。 主催は僕らの世代にはグッとくる楠瀬誠志郎さん。楠瀬さんが教えるのは緩める事が本来の自分を出す事であり、コミュニケーションは感じる事から始まるという独自のセオリー。 実際にボイストレーニングとモータースポーツは直接関係ないのだが、アシスタントの新城さんは「緩めるメソッド」がいかにスポーツに役立つかを研究されていて、ワークショップで会話した時にこのレースに出る事を伝えると「是非、緩めるメソッドがモータースポーツにどのように影響するか、教えてください」と約束したのだった。 更に今回は太田哲也さんが出場する事もイベントの一つであった。 富士スピードウェイで瀕死の重傷(火傷)を負った彼が、過去の自分と向き合う事になる意味のあるレースである。彼を応援する「KORクラブ」の会員でもある私が同じレースに出場するのだ なんやかんやしてる間に予選スタートである。 富士の新コースは前半部分はほぼレイアウトが同じで後半になると少しテクニカルなコーナーが連続する。しかも登りとなっているので足回りがノーマルだとトラクション(前に進む力を路面に伝える度合い:空転すると前に進まない)がかからずアクセルを緩めながらのアプローチとなる。 混走なので速い車はめっぽう速い。例えば激しいロール(車体の傾き)でトラクションが抜けてタイヤが空転してしまうため同じ147でも100Rの高速コーナーでアウトから抜かれてしまう。 もちろんメインストレートから第1コーナーへの進入はかなり余裕を持ったブレーキングが必要。他の車がどんどんインを突いてくる戦場となるため周りを良く見ていないとブレーキ性能の高い車が突っ込んでくる可能性がある。 もし性能が高いクルマと同じように進入で攻めた場合、前のめりのままステアするために加重が掛かったフロントタイヤのコントロールが効かなくなる可能性がある。つまり複数のクルマがコース幅いっぱいに並んだ過密状態で自分のクルマをコントロールする幅が小さくなるのは危険なのである。基本的に、改造車に混じった状態でノーマル車が200km/hからの限界付近でフルブレーキに挑戦するのは無謀と言えるだろう。 結局終わってみるとタイムは後ろから数えた方が早かった。 それでもクラス(AR150-4)の順位は3位!う~ん、なんとも微妙なところ・・ 恐らく後ろの車は混走でクリアラップ(遅い車に邪魔されない事)が取れなかったのだろう、でもこのまま本戦を維持すれば・・・。 な~んて考えながら本戦開始を待つ事に。 本戦では例の実験開始である。緩める事を中心に身体と精神を調整する。何も考えない、ただ身体にゆだねて出走したのである。 ただ気持ちよいって感じが沸き起こる。 身体はクルマの前後左右の動きを感じて・・、いやそんな客観的ではなく、ただただクルマとの一体感を感じていた。 もちろんどんどん抜かれて行くけど、今の自分と車のベストを探っている状態で会話している感じ。 そうしている間にバックミラーに映る147が見えた。 ・・・・その時変化が起こったのだ。 「このまま維持すれば表彰台かもしれない」そんな思考が頭に浮かぶ。負けない、がんばる、いろんな言葉が身体中の筋肉に指令を出す。 そして最終コーナーで痛恨のシフトミス・・ 身体をゆだねていなかった。身体を思考でコントロールしようとしていた。 あっさりストレートでバビューンと抜き去られた。 脱出で失速した差はメインストレートで取り返せるはずも無くそのまま差は開くばかり。 そして1周してチェッカーフラッグ・・ ほんの数秒違いで表彰台を逃してしまった。 この経験は重要だった。 人間は本来、本能的にベストを知っているのだが、それを妨げている部分がある。スランプだとか伸び悩み等という言葉が代表的であろう。 身体はベストを知っている事を認識すれば何も恐れる事は無い。思考と身体とのダンスという表現がしっくり来る。ダンスしている間も抜かれることはあるが、それは単にクルマの性能差によるもの。 しかしダンスじゃなくなった瞬間にシフトミス。そんな時、クルマの性能差は関係なく「腕の差」という事になる。 ひょっとするともともとクルマの性能差があったので結局後ろの147に抜かれて同じだったかもしれない。でも今回は自分の失敗が原因なのである。 スポーツは本来、思考と身体が一体になれるかどうかを競い合っているのかもしれない。うまくボールを投げる事が出来ない、タックルをかわす事が出来ない、スキージャンプの踏み出しのタイミングがずれたなどなど・・・ メンタルさえあれば大丈夫か? そんな事は無いと思う。しかしメンタルな部分を研ぎすます事で足りない所が見えてくる。そして次のステップまで何をすれば良いかが見えてくる。そんな気がする。 運転技術としてヒール&トウ、ライン取り、ブレーキング、ハーフアクセルの加速、いろいろあるけど、そんな事は後回し。 身体と思考が一体になれば是正される。直感が働いて自然に体得する。練習のポイントが見えてくる。そんな感じ・・ それが「緩める事」 今回のアルファチャレンジは特別だったと言える。本当のスポーツに触れられた気がする。 --------------------------------------- 以上 ありがとうございました。 |