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政治・経済・社会・思想ばかりじゃなく、他の分野の本も紹介できないかと思っていたら、一般の新書なのに高校生向けのタイトルを付したものが新刊書として登場していたので、ひとつ紹介してみんとて読めるなり(笑)。
それが、鈴木日出男の『高校生のための古文キーワード100』(ちくま新書)です。内容は古文を理解するのに欠かせない100の用語の解説で、内容としては辞書を詳しくした印象のもの。配列も50音順なので、無味乾燥と思われるかも知れませんが、辞書と違って紙幅にゆとりがあるため、解説が丁寧となっているだけでなく、用例も豊富。その用例は現代語訳のみならず、その文章の背景にまで言及していて、原典を読んでみようかと思わせるに十分の内容です。 「あはれ」の項目では、お約束の基本事項も「「をかし」が理知的な感懐から出ているのに対して、「あはれ」はあくまでも、しみじみとした主情的な感懐にもとづく」と説明され、「をかし」を多用する『枕草子』と、「あはれ」を多用する『源氏物語』の対比も示されています。高校生の頃は「をかし」の機微に魅力を感じましたが、最近は齢を重ねたせいか「あはれ」にも共感。 いろいろな原典からの引用に、「君がため春の野に出て若菜摘むわが衣手に雪は降りつつ」(古今集・春上)なんていう懐かしい和歌に再び出会ったり、既に初老の域に達した源氏の下にわずか13歳の三の宮が嫁下した際に、「うつくしき子どもの心地して、なまめかしうをかしげなり」などとうそぶく源氏に、羨ましいぞっ!と思ったり……(汗)。というわけで、いろいろ古典を購入してしまいました。 『高校生のための古文キーワード100』(ちくま新書) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006.06.14 08:09:30
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