|
カテゴリ:「お勉強」のこと
今日も朝から打ち合わせで外出。
電車に乗っていたら、中吊り広告の「全国223校 医学部合格力ランク」という見出しが目にとまった。 この時期は雑誌で各高校別の大学合格者数がのっているが、医学部だけというのも最近はあるんだね。 学校の授業を大切にして欲しい私としては、この高校ランキングがそのまま高校の授業レベルをあらわしていて欲しいのだが、現実はそうではない。あの「高校別合格者数」というのは、間違いではないが、学校のおかげというより、塾のおかげという学校もあるからね(医学部なんて特にそうでしょ)。 もちろん学校がきちんと面倒を見てくれて、塾に行かなくても難関校に受かる高校もある。ただ、どうしても「学校授業だけでは無理」という状態になっている高校も存在する。特に都内近郊の公立はその傾向が強い。 なぜか。 一つは、学校授業が入試範囲まで終わらないことが挙げられる。例え範囲が終わったとしても、なんとか入試の日までに間に合わせたという感じで、ものすごいスピードで授業が進み、それで理解するというのは難しい状態である。 また、学校自体が「受験は塾でやってください」的なスタンスのところもあり、学校には友達に会いにいくだけになってしまう。ただし、これはこれで自分のペースで勉強しやすいというメリットが生まれるが。 ウチの講師で「学校授業だけ」で早稲田に受かっている人がいるが、彼は六年生一貫校の私立なので、学習内容が学校で全て終わっていた(高2で終了していた)。こういう学校ならいいが、この辺りの公立はそうじゃないからね。 かと言って、私立ならいいかと言うと、私立でも、ものすごく「塾」に通う生徒が多い学校もあって、難しいところである。私はよく「なんであの〇〇高校に行っていたのに、塾に行く必要なんかあるの?」と講師に聞くが、「受験テクニックを習うために」というものも、もちろんいるが、「友達が行っているから」という理由のものが多い。 有名高校に行けば、志が高い人、要するに目標としている大学のレベルが高い人が集まっている。そういう人達の間では、受験を有利に進めるため、「数学は〇〇塾、英語は△△塾、理科は××塾」という情報を持っていて、それに感化され塾に行く人がいるようだ。 逆にいえば、難関校受験も「みんなが受験するから自分も受けた」という感じで受かってしまうのも、有名高校にいるメリットではある。 学校ではさすがに「受験テクニック」というものは、教えない(教えている先生もいるが、ほんの一部である)。まぁ、気持ちは分かる。受験は落とすための試験である以上、受験テクニックがあれば有利に働く場合があるからね。私もセンター試験の英語は、問題文を読まなくても答えを出すテクニックを持っているし。だけど、私立校なら「受験テクニック」を必要としなくても(そんなに塾に行かなくても)大丈夫だと思うんだけどなぁ。 では、地方の公立はどうなのか。地方の公立TOP校出身の講師に学校の授業のことを聞くと、出身県によって「学校の授業だけで受かります」というところと、「東大、早稲田、慶応レベルは無理です。」というところがあるので興味深い。でもその高校がある県の国立大学なら、ほとんどの場合、学校の授業だけで十分だそうだ(ただし医学部は除く)。まぁ勉強時間が違うからね、こっちの子と地方の子は(もちろん、地方の子の方が多い)。しかも、学校がちゃんと高3の1学期で範囲が終わるように教えてるのにも驚いた。 あの大学合格者数に、通塾率をかけたものが本当の高校の姿だと思うんだけど。 今年、私立校にいくつも合格された生徒さんがいたが、お家の方は最終的に、「学校の授業だけでどのくらいのレベルの学校まで合格できるのか」を判断されて、入学する高校を決めた方がいらっしゃった。 雑誌も特集を組むなら、「一番費用をかけないで東大に受かる学校」とかやればおもしろいのにね。 私が知っている中で、一番費用がかからないで東大に受かった人は、愛知県出身の学生で、小学校から高校までずっと公立で、塾にはいかず(運動部に所属していたから行く時間がなかったらしい)、高校で学校の授業とZ会だけやって理一類現役合格している。こう書くと、その学生のもともとの能力が高いのでは、という意見がでそうだが、私から見ると、その子が通っていた高校がかなりしっかり教えている印象を持つ。ちなみにその高校は毎年東大に30人前後合格者を出している学校である。 毎日学校に行っているのだから、学校でしっかり力がつくように教えてくれるといいのにね。 あの高校ランキングが、本当に学校の指導レベルをあらわす日が来るのは、いつになることやら。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
|