2004/07/27(火)20:11
「経験がある」と言われてもねぇ。
講師に応募してきたある大学生は、現在大学2年生であるのだが、1年生の頃に、個別指導の塾と家庭教師をしていたとのことで、「経験者です!」という非常に自信たっぷりの雰囲気を醸し出していた。
個別指導の塾名を聞き、その塾が研修など一切やらない塾であったということと、家庭教師も「経験」はあるが「実績」は出せていないため、「塾での指導経験があっても、当社では研修を受けてもらい、経験者としては現段階では扱えない」旨を理由を詳しく書いて返答した。
すると、「経験者として扱わないのはおかしい!」とクレームを言ってきた(どうやら研修があるのも納得がいかないようだった)。
たかが1年ほど教えたから、と言っても、1年で何が分かるというのか。
経験がないよりは、ある方がよいのだが、ただそれは「ある方がよい」というだけの話であって、「経験者」として大きく認められるものではない。
私は「教え方」というのは、ある種の技術が必要であって、知識があるから「はい、教えられます」というものではないと思う。
それこそ、生徒さんに説明するときの最適な文字の大きさ、ペンの太さにはじまり、実際にどう授業を組み立てれば良いのか、という授業の進め方、また宿題一つとっても、「出してはいけない宿題」も存在する。
中学受験や高校受験のための、1対20人の集団塾では、上記のようなことは塾側でみっちり研修をしている。
黒板は体半分ひらいて記入するとか、色の使い方とか、声の大きさだとか、ちゃんとした塾なら塾長自ら授業中にチェックをして、どんどん教え方を直していく。
個別指導の塾や家庭教師は、こういった研修を行わないところが非常に多い(これには多少、コストの面もあるのだが)。
社会人だから、というただそれだけの理由で、「プロの家庭教師」として謳うところも非常に多い(お気をつけください)。
また、ちょっと指導経験があるだけで、「経験者です!」とご家庭にご紹介するところも多い。
問い合わせをしてきた学生も、他社だと「経験があるなら、是非お願いします!」と言われる(言われた)のかもしれない。
そして、業界がこのような風潮だから、たかが1年教えただけで、自信満々になってしまうのかもしれない(業界も悪いね)。
「教える」という行為には、上記以外に、「子供(生徒さん)の心理をわかってやれるか」ということも必要とする。
家庭教師は、「分からないところを教えてあげればいいんだ」ではない。
想像以上に難しい仕事なのである。