「安い物件があるんだけど」
「ねぇ、今日ヒマ?」朝早く弟から電話をもらう。まぁ、ヒマと言えばヒマだけど、なんで?「あのさぁ、家を買おうと思うんだけど、安い物件があるんだよね。」東急田園都市線の「高級住宅地」にあるその物件は、値段を聞くと確かにお安い。う~ん、、、それさぁ、なんか絶対にあるよ。その近辺でその値段っておかしいもん。全室「お墓ビュー」とかじゃないの?「でもとりあえず、今日『内見できる』って話だから、ちょっと一緒に見に行ってくれない?」昨日もお家チェックで出かけたのに、今日もまた、と思いつつ、一生の買い物であるので、一緒に内見に行くことにした。弟達と待ち合わせて、目的の家まで行ったのだが、不動産屋さんが来ないので、「売り出し中」と書いてある違う物件を見る。8,000万円を超えるその物件は新築だったので、設備も最新式のが入っていて豪華な造り。デザインもオシャレだ。キャーキャー言いながら部屋を見てまわる。「どうですか?」と妹が聞くのだけれど、もう建ってしまっている家は目視ですぐにはわからない。悪くはなさそうだけど、値段が高いよね。やっと不動産屋さんが着いたので、目的の家を内見する。先ほど高級物件を見てしまったため、すべてにおいて「う~ん、、、」という印象をもってしまう。ちなみに値段が安い理由は分かった。2階は良いのだが1階がかなり日当たりが悪く、しかも建て直しがきかない家のためである。いくら「土地付き一戸建て」と言っても建て直しができないのは、購入後の転売も難しい。ん~、やっぱりオススメできないねぇ。不動産屋さんが「他の物件もございますので」と言うので、そちらも見てみることにする。車で後をついていき、紹介された物件は、坪単価の施工費がとても高い物件であった。えっつ、これ?不動産屋さんから聞く売買価格は、この施工の家ではそんな価格になるハズがない金額であった。彼と「ありえな~い!!」と言って、紹介物件が間違っているのではという疑念を抱く。よく見ると紹介された物件の囲いのところに掲げてある看板に、「〇〇様邸」と施主の名前がしっかり明記されている。あの~、この物件は違うと思うのですが。不動産屋さんに言うと、「あっつ、すみません。間違えました。新人なのではじめて来て実はよく分からないんです。」彼が、「何千万もする家を買おうというお客様に、新人一人で来させることはウチの会社ではしない。」とポツリと言う。結局、案内地図をその新人営業マンから借りて、私たちが先頭で家を探すことにした。新人営業マンが道に迷っていたロスタイムが響いている。やっと次の物件に到着した頃には、もう夕方になってしまっていた。次の物件は、ちょうど建築途中だったので、施工の様子が見えて良かったのだが、最寄駅までバスで20分のため、働きながらの子育て中の妹にはかなり厳しい条件であった。ここは立地がきついね、と妹と話をし、もう他を見る時間もなくなったので、今日の内見は終わりとする。帰り際、新人営業マンが妹に色々希望条件等を聞いていたのだが、どんな理由があったにせよ、新人一人だけをつかせる会社の姿勢がどうかと思うので、そちらの会社からは絶対に購入しないと、一同心の中で思う。なかなか「コレ!」という家を見つけるのは大変だけど、地道にアンテナを張っておくしかないね。