テーマ:大学入試(148)
カテゴリ:入試問題検討
東工大の'08年前期入試の物理の問題について書いておきます。
今年は4題になりましたが、基本レベルはセンター試験に任せて、2次試験では、物理的思考力を試す第3問と第4問だけでよいのではないかと思われます。第1問、第2問でムダな時間を食って、第3問、第4問をじっくり考える時間がなくなったりしないように注意しないといけません。 第1問は、レンズの基本問題です。センター試験と同じ問題だということで対象外となった設問がありますが、こういうことをしてしまうと受験生に予断を与えることになるので、私は構わず実施すべきだと思います。 ですが、教科書の例題かと思うような問題で、出題意図がよくわかりません。 第2問は、断熱変化の公式を求めて、気体がした仕事を内部エネルギーの減少分として求める問題で頻出パターンの問題です。4題になったので、このレベルになっているのだと思われますが、例年はもう少し味付けされています。 第3問は、サイクロトロンと違って同心円で半径が増大するように加速するのではなく、加速後に円の中心がずれることに気づかないと題意がとれません。必ずしも問題文が親切とは言えませんが、じっくりと出題者の意図が理解できるまで問題を読みこなしてください。東工大では、物理の試験が現代文の読解力の試験を兼ねていると言っても良いのです。 結局、問題文の図をよく見て、何が起きているか、ということをつかめるか、ということになります。 また、この問題での交流の取り扱いは、干渉縞の考察と似たものがあります。教科書の基礎事項を物理的にしっかりと理解しておくことが、こうした問題を解くために必要不可欠です。 第4問は、受験生にじっくり考えさせたい問題です。状況設定は簡単ですが、細かくエネルギー収支と摩擦力の関係を追って行く必要があります。感覚的に問題を眺めてしまうと、正解できません。東工大の名にふさわしい問題で、あくまで物理として、教科書の基礎事項に基づいて考える必要があります。 一旦、右に行きすぎて、元に戻ってきても止まれずに行き過ぎる、ということが、2次方程式の解が出てくるか、ということをからめて考えるのは爽快です。 第1問と第2問がやや余計なので、第3問と第4問の両方を完答するのは無理だと思いますが、どちらかはやりきりたいところです。受験生心理としては、どうしても、第1問と第2問を確実にものにして、第3問、第4問はできる範囲で、ということになってしまうので、今年の4題では、物理ではほとんど差がつかなかっただろうと思われます。 大学入試問題研究サイト お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008.03.24 17:30:23
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