物理での微積の取り扱いについて
CFV21には微積がどんどん出てくるけれども、学校で物理に微積は必要ないと言われた、というご意見を頂きましたので、お答えしておきます。高校物理の教科書は確かに微積色を薄めて書かれています。いろいろな大学の入試問題を見ていても、微積を使わずに答える問題ばかりです。少なくとも、大学入試で物理の問題を解くためには、微積は必要ないと言っても良いと思います。私も、敢えて、微積を使って問題を考えようとは思いません。しかしながら、近似計算を必要とする問題などで、近似の仕方が非常に難しく、微分してしまえば、数学IIIに出てくる程度の微分計算ですんでしまう問題なのに、なぜ、敢えて近似計算でやらなければいけないのか、と、思うような入試問題も散見されるのです。電磁誘導の法則を適用する問題では、私は、磁束を時間微分して起電力を計算してしまう方が簡単だと思います。ことしの、東大物理'08年前期[3]も、微分方程式と思ってしまえば簡単なのに、高校の範囲で考えようとすると工夫が必要な問題です。東大物理では、75分で3問解かないといけないので、試行錯誤している時間的余裕がありません。こういう問題では、微積は使わない、などと、決めてしまわない方が良いと、私は思います。それと、物理学そのものは、ニュートンが「力学」を作ったときから、微積分学とともに、発展してきているのです。大学に進んでからの話ですが、物理学を微積なしに考えるのは、ナンセンスです。ですが、一応、ご忠告を申し上げておくと、必要もないのに、微積を振り回さない方が良いと私は思います。大学の入試問題は、微積を使わなくても解答可能なように配慮されているのです。「速度を求めよ」という問題で、微積の方に頭が向いてしまうと、エネルギー保存を考えつかない、というようなことも起こりえます。私の印象では、微積を適用するよりも、エネルギーで考える方が遙かにラクな問題の方が、圧倒的に多いと思います。大学入試問題研究サイト