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カテゴリ:読書
長い間、読みたいと思っていました。
映画化された時も「三國連太郎がおじいさん役か。見たいな」と思いました。 なのに、なぜか原作も読まず、映画も見ることなく過ごすこと、なんと20年以上! 平成6年の初版から21年目の夏、 私はやっと『夏の庭 ーThe Friendsー』を手に取りました。 【楽天ブックスならいつでも送料無料】【夏の文庫キャンペーン2015】夏の庭 20刷改版 [ 湯本香樹実 ] 厚さ1cmに満たないこの小説に、 なんとたくさんのことが詰まっていることか! 読み終わったあと、じんわりと心に湧き上がるあんなこと、こんなこと。 いいものを読んだなぁという満足感でいっぱいです。 *** これは小学6年生の少年たちの、ひと夏の物語。 太り気味の山下くんは魚屋の息子。 母と二人暮しの河辺くんは、家庭の事情を抱え、 どこか危うい部分を持っている。 そして ぼく。 3人は同じ塾に通い、同じ少年サッカーチームに所属している。 個性は違うけれど仲良しだ。 夏休み前に、山下くんが学校を休んだ。 田舎に住んでいるおばあさんが亡くなったので、 学校を休んで葬儀に出席していたのだという。 人が死ぬってどういうことなんだろうか? 河辺くんも ぼくも身近に死を見たことがない。 死んだらどうなるのだろう? 町外れの一軒家に、一人暮しのおじいさんがいる。 生気のないおじいさん。 もしかしたらもうすぐ死ぬんじゃないかと思ったぼくたちは おじいさんが死ぬ瞬間を見届けることにした。 そうすれば「死」がどういうものかわかる気がして。 夏休み、おじいさんの家に通いつめる3人。 そのうち、観察していることがおじいさんにバレてしまい… *** 読み始めてすぐに、物語の世界に没頭できました。 子供のころの夏が蘇ってきたのです。 全身に浴びた日の光の色や、 扇風機の風を受けながら食べたスイカの味。 時々見える大人の世界の不条理さなどなど。 ああ、なんて懐かしい。 この小説が書かれて20年以上も経っているとは信じられません。 人間の死について。 家庭の問題について。 ちょっと大げさだけれど友情について。 そしておじいさんとの触れ合い。 少年たちが経験すること、 考えていること、学んでいくさまが、 時代を超えて普遍的なものだからだと思います。 今も「新潮文庫の100冊」に選ばれているのは、 こういうところにあるのではないかしら。 私は主人公のぼくも好きだけれど、 魚屋さんの山下くんが家業にとても誇りを持っていて、 いっぱしの「職人さん」であることがまず嬉しい。 そして、一番危うげだった河辺くん (映画『スタンド・バイ・ミー』でいうなら、 リバー・フェニックスがやっていた少年に似ている)の成長が 本当にうれしく頼もしい。 また、子どもたちに観察されていたおじいさんが どんどん生き生きしてくるのが良い。 生きがいって大事だなと思いました。 ここには書かないエピソードが他にもたくさんあり、 微笑ましかったり、心がしんと静かになったりします。 でもなんといっても、 夜中にトイレに行くのが怖かった山下くんが 最後に叫ぶ言葉が素晴らしい。 そうか、そんな風に思えば良いのか!と 思わず膝をポンと叩きたくなる名言でした。 出版されて21年も経つ本を今更お勧めするなんて、 お恥ずかしい限りですが、 この本はお勧め度★★★★★です。 本当に、良い小説でした。 ブログランキングにエントリーしています。 もし記事を気に入っていただけたなら、クリックよろしくお願いします。 ↓ 人気ブログランキングへ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2015.07.29 21:25:37
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