今まで医師の方から見たHSPやHSCについての本は何冊か読んできましたが、実際HSCの方が書く本を読むのは初めてでした。
HSPとは、生まれつき刺激に対して、とても敏感な人のことです。
この敏感さは、病気でもないし、障害でもない。
単に気質だと考えられており、5人に1人の割合でいると言われています。
HSCは、HSPの子ども版のことで、30人クラスなら5.6人はいるんじゃないかと言われています。
意外と多いですよね。。
この本は、HSCの小学5年生のにんじんさんのノンフィクションの本です。
どのように学校生活を送り、どのように見え感じてきたかが、とてもリアルに書かれていて、途中すごく苦しくなってしまう場面もありました。
HSPは、その繊細な気質をどう受け止められてきたかで、生きやすさは大きく変わる、環境がとても大切だと、別の本で知ってはいましたが、
環境が与える影響がこんなにも大きいのか‥と、痛いくらい実感させられる内容でした。
自分が怒られていなくても、それ以上に、自分が怒られているように感じてしまう。
怒られないようにちゃんとしないと。。
どんどん怖くなり、体調を崩してしまう。
その際のお医者さんの言葉が、素敵でした。
「そんなにつらかったら、学校に行かなくていいよ。
家で勉強しとるんやろ?そしたら大検とってから医者にでもなれよ。医者はオリンピックの選手になるよりラクやから、君が医者になったら診察してな」。
そういう理解ある優しい言葉をかけることができる人もいる反面、
心ない言葉をかける人もいたり、学校以外の場所には国からの支援がないことなど、今まで知らなかった現実を突きつけられた気持ちになりました。
にんじんさんは、何度も何度も登校しようとがんばりますが、身体が拒否反応をだしてしまいドクターストップがかかってしまいます。
いろんなことを乗り越えながら、いろんな人たちと交流を重ね、コロナ禍によりオンライン授業ができるようになるなど流れも少し変わり、その中でにんじんさんは、自分がやりたいことを見つけます。
小学5年生でここまで明確にやりたいこと、やるべきことが見えている人はなかなかいないと思うくらいのことを考え実行していて、これは学校いくいかないどうこうではなく、どう毎日生きてきたかだと思いました。
本気で学校へ行くとは、学ぶとは、生きるとはを考えた人だからこそだと。
そして、最後にお母さんの言葉もありました。
寄り添い続けてきたお母さんの言葉がどれも重く、一つ一つに大きな課題を感じました。
学校へ行き渋る中、連れて行くべきかどうかの悩み。
居場所を見つけることができても支援がないための金銭的な問題。
保護者は、親と先生の2つの仕事をするため自分の時間は全くない状態など。
けどこれは全く他人事ではなくて、もっと自分事として考えないといけないことばかりに感じました。
行き渋りのあるHSCの息子の親の1人として、私も考えないといけないことばかりだし、にんじんさんが投げかけてくれたボールを受け取り、できることからやっていきたいと思いました。
理解しようとしてくれる人もいれば、そうでない場合も必ずくる。
いい環境でと思っていても、そんなとこばかりではないのが現実だと、この本を読んで改めて思いました。
どう社会と繋がっていくか。
学校が全てではないし、学校が悪いわけではない。
だけど、その子たち自身が悪いわけでも絶対にない。
生きづらさを感じている人たちの、生きやすい環境とは。
なんかたくさんの課題を感じました。
そして目の前にある行き渋る息子との向き合い方。
何が正解なのかまだまだ模索中です。
ですが、新たな生き方の選択肢を教えてもらえたこの本に出会えて本当によかったなと思いました。
本にしてくださったことに感謝の気持ちでいっぱいになりました。
たくさんの方によんでほしいなと思いました。
おすすめです。
HSC不登校の小学生 [ にんじんさん ]