HSPの本⑦ 「HSPの心理学」
HSPの本を何冊か読み、なんとなくHSPについてわかったような気になってましたが、この本を読み、間違った認識をしていた部分に気づき、HSPについての考え方が大きく変わりました。HSPの研究者である著者の方は、近年HSPが広く知られるようになったが、明らかにエビデンスのない情報も増えていて、研究にもとづくHSPの考え方とは、多少なりともズレがある場合もある書かれており、本書の中で、たくさんの誤解やズレについて、研究やエビデンスにもとづいて説明をして下さっています。HSPの誤解を一部あげますと、HSP🟰生きづらい人5人に4人が非HSP世の中には2種類の人がいる。HSPか非HSPか。HSC🟰弱い子。学校が苦手。不登校になりやすい。など、ほんのごく一部ですが、こんなふうにとらえられてしまいがちな説明を見たことありませんか?と、例があげられており、なんとなくそんな印象をもちやすいかもと思いました。しかし、HSPは、環境感受性という特性がとても高い人たちを表す言葉であり、ポジティブとネガティブ両方の環境から「良くも悪くも」影響を受けやすい特徴があるので、一概に生きづらい人に貼るラベルではない。環境しだいで、HSPは感受性が低い人よりも生きづらくもなるし、生きやすくもなるとありました。また、私としてはここが一番今回印象的だったんですが、「5人に1人はHSP」と他の本でもよく見た知識でしたが、それを読むと、感受性が低い人たちが、5人に4人はいると捉えがちでした。それは誤解だと本書にはあって、世の中の大多数は感受性が平均くらいの人たちで、感受性は低い人から高い人までグラデーションがあるという考え方でした。感受性の程度を0〜100で考えてみると、30の人もいれば70の人もいる。数値がいくら以上がHSP、数値いくらだと非HSPだという明確な線引きはないとのことでした。けど、なぜこのように環境から影響を受けやすい人とそうでない人がいるのか?も研究されていて、感受性が高い人から低い人までばらつきをもたせるためことで、遺伝子を残す可能性を高めていると考えられているようでした。そして、HSPかどうかを診断するチェックリストもよく色々なとこで見かけますが、注意してくださいねと書いてありました。実際は、HSPかどうか決める絶対的な基準はないようで、研究にもとづくHSP尺度というものはあるが、それは診断を目的とするものではなく、感受性のグラデーションにおいて、自分はどのへんに位置するかという視点をもつためのものであり、HSPか非HSPかという明確な境界線は学術的には認められていないとありました。→ここまでのところで、私や息子はHSPだと思い、もっとよく知りたいと色々本を読んでいましたが、所々当てはまらないとこはあるなと思っていた違和感が、そういうことだったのかと繋がりました。HSPかそうでないかと言われれば、環境から影響はうけやすい面もあるけど、そればかりではない。グラデーションの曲線のなかでいえば、私はこのへん、息子はこのへんかなと、新たな視点で考えれるようになりました。そして、著者の方は、最後にこう言います。HSPがわかって安心した。生きづらさの理由がわかった。と受けとめられる方がいます。しかしそれがゴールではなく、スタートにしてほしいと。HSPであることがわかって、どうしたらよいか。HSPの考え方をふまえて、少し普段の生活を見直したり、もっと自分をよく知るために心理学を学んでみたり、自分の特性を生かしてほしいとありました。→確かに。。どこからくる不安なのかや、なんで環境が変わるとこんなにもストレスを感じるのかなどわかると、HSPだからだったのかと、理由がわかったことによる一時的な安心感は得られるけど、そこで止まらず、より生きやすくなる行動をし続けることこそが大切だなと思いました。この本の中には、不安を感じることは一概に悪いことではなく、自分の身を守るためのものである。環境を調整し、環境とフィットすれば、感受性が低い人よりも、精神的に良い状態に過ごせ、感受性が高いことが「強み」になるとありました。→学生であれば1年毎にクラス替えもあるし、担任の先生も変わる。大人でも入った職場に合わない人もいる。環境を調整するということは本当に簡単なことではないけれど、目を向けるべきとこは、自分は何に対して刺激を受けやすいか、どのような捉え方の特徴があるか、どうしたら落ちつき、どんな環境なら気持ちよく過ごせるかを考えていくことなんだと改めて思いました。情報が溢れているなかで、正しい知識かどうかを見極めることは難しく、受け取り方を間違うと、少し認識にズレが生じてしまうことも、この本を読んでよくわかりました。少し専門的な説明もあり難しいところもありましたが、根拠にもとづいた説明と、その先の視点をもたせてくれる本でした。おすすめです♪HSPの心理学 科学的根拠から理解する「繊細さ」と「生きづらさ」 [ 飯村周平 ]