2005/10/13(木)23:09
茶木の音楽紀行 1
高校一年になっても、中学の時と同じくフォークソングに夢中で、暇があれば友達と
文化祭で演奏する曲を練習したり、新しいコードネームを憶えたり、ギターの手入れ
をしたりしていた。
頭の中はフォークソングのことでいっぱいで、将来はフォークスィンガーになるんだ
と本気で思っていた。
音楽の非常勤の先生がやってきた。
大学を卒業したての男の先生で、おにいちゃんみたいで、全然先生と言う感じがしな
かった。
本人も教師になるつもりは全くなかったと思う。
「先生は大学で何を勉強していたの?」と僕は尋ねた。
「歌だ」とその先生は答えた。
「クラッシックに歌なんかあるんですか?」と僕は尋ねた。
当時僕は、クラッシックと聞くだけで寒気がしていた。
その場で先生は声を出して歌ってくれた。
びっくりした。
人間が出しているとは思えないぐらい大きな声だった。
先生は授業で、教科書は全く使わず、ギターをひかしたり、声楽と言うものについて
話してくれたりした。
でもそれは授業をするというよりは、自分が夢中になっている歌のことについて、夢
見ごこちに話していると言う風だった。
この先生は自分のことだけで、僕たちのことなど眼中に無いだろうなーと思った。
しかしそんな先生に僕は恐ろしいほど引かれて行くことになる。 つづく