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テーマ:中国&台湾(3292)
カテゴリ:中国と中国語
◆【北京の手打ちラーメン】
日本から時々、エンジニアを連れて訪中しました。中には中国に興味がすごくある人もいて、北京で手打ちラーメンを食べたい!とか頼まれる。 私はもう北京や上海は歩くのも飽きてるから、サービスだと思って横丁に連れてゆく。 雑技場の裏手だったかなあ、横丁の手打ちラーメン名人を紹介してくれる北京人がいて、ちょうどいいやとそのエンジニアと行きました。 ありふれた横丁に小さな食堂があり、特別変わったことはない。 中年の体格のよいご主人に声をかけると、「ああ、いいですよ」と快く引き受けて、両手に白い小麦粉の塊を持って、いきなり店の前に出た。 すると、細い路地でびっくりするような職人芸をあれよあれよと見せてくれる。 もう縄跳びみたいに長く伸びた麺が、頭の上に伸び上がる方はいいんだけど、足元の方にくるとほこりっぽい路面にすれすれでくっつきそう。 心臓に悪いくらいの離れ業。 エンジニアは狂喜して写真をとりまくる。私は久々に中国疲れした倦怠感が吹き飛び、目を丸くして立ち尽くす。 その後、細い麺ですぐにタン麺を作ってくれた。日本円で何十円かのほとんどタダみたいな値段で、歯ごたえのある打ちたてのラーメン(ちなみにラーは中国語で引っ張るという意味で、日本のラーメンは中国にはありません。タン麺です)を賞味して帰りました。 味より技がおいしかったんですねえ。味はもう忘れてますもん。市失敬! でも、なぜかあの時のことを思い出すと、店から数メートル離れた共同トイレで同僚とツレションしたことが映像として浮かび上がる。 当然、汚いというか、開放的な普通の中国の共同トイレなんですが、珍しく中はコンクリートか何かの壁があって、あっちとこっちみたいな作りだったなあ。 ただ、どういうわけか、ラーメンというとこのトイレの風景をセットで思い出しちゃうんですねえ。なぜだろう? 衛生的な手打ち面と、決して衛生的でない共同トイレのコントラストがおもしろかったのかなあ。 まあ、日本でいえば、戦後の焼け野原と掘っ立て小屋の中で、スイトンがおいしかったという方のお話にどこか一脈通じるのかなあ? ラーメンといえば、中国めぐりの後期に、坦々麺(たんたんめん)とか、湯(タン)麺でなく、日本風のラーメンが食べたいという欲求にかられたことがあります。 山西省でいえばバオシャオ麺(そぎ落とし麺)とか色々種類はあるのに、日本風のあの醤油味のスープに麺が浮いているの食べたことなかったんで、ある時、ホテルの調理人に絵解きをして、作ってもらったことがあります。 でも、出てきたのは湯麺(タンメン)でした。見たことも聞いたこともない「日本風の」ラーメンって中国ではとうとう食べられませんでした。 もちろん北京上海あたりの日本料理店なら何でもあるからこれは除きます。北京飯店で「ふぐ刺し」まで食べられた時代ですから、こういう例外でなく、中国人による日本風のラーメンが奥地に存在していた!みたいなウルルン滞在記はなかったということです。 ついでなので、本当の中華料理のお話の付録。 日本から仕事で中国に何人か連れてゆくと、ほとんどの人たちが最初の数週間は元気に中華料理を食べますが、数ヶ月になると、下痢をしたり、食欲減退したりして元気がなくなります。 私は慣れているから気づかなかったのだけど、中国の田舎町を散歩していて気づきました。ちょうど裁判所で極悪犯罪人の掲示とかを見ながら店先で見つけたもの。 そうラードというか油の塊。大きな洗濯石鹸みたいなの。こういう油を料理に使っているのが原因ではないか?と。 そこで、次回の出張の時、日本のサラダオイルを持参して、ホテルの調理人に使ってもらいました。 おいしい!一味違う。油当たりもしない。でも、どこか物足りませんでしたねえ。 怪しげな何かが人生には必要なのかも? ◆【上海ガニとスッポン料理】 揚子江の東側には豊かな水田地帯が広がります。ある時、宋時代から使われている水路が網の目のように走る田舎に行ったときのこと。 現地の人が上海ガニを食べませんか?という。ちょうど旬だったらしい。 私がいた会社の北京や上海の駐在員は都会の楽しみといえば食べることだから、市内のレストランでうまい店があると、ホテルだけでなく、どこへでも行く。 彼らが上海ガニというと高級と口を揃えて言う。おつきあいで食べるが、特別食事に興味がなかった当時の私は、こんな小さなカニのどこがいいんだ?味噌か?卵か?これっぽっちのもん、どうってことないじゃん。みたいな経験を繰り返していたので、現地の方から言われても、あまり食べようという反応をしなかった。 すると、「おいしいんだから、今しか食べられないんだから、食べてくださいよ!」としつこい。 私は「上海ガニは上海に住んでいる湖のカニでしょ?ここって、湖とか見当たらないし、上海から少し離れてるよ!」と抵抗する。 すると、「実はここから湖にかけて上海ガニは住んでいるから同じものなんですよ。かえってこっちの方がおいしいから!」と熱っぽい。 私も仕事にさしつかえるといけないからと、おつきあいのつもりで「じゃあ少し」と承諾した。 すると、食堂のテーブルに山のようにゆでたてのカニが盛られてくる。あのときは、二人出張だったから、とても食べきれそうにない。 すると、現地の人は上手に甲羅を開けて、「身は食べなくていいから、ここの黄色いところを食べてみてください」と次から次と出してくれる。 「うまい!」「こんな絶品食べたことない!ウニや毛蟹のミソと違い、磯臭くない!」 純粋に濃密なミソ(卵?)の味。 値段を尋ねたら日本円で何十円とタダ同然。へえ、川の上海ガニは北京飯店のよりずっとおいしい!体験でした。 ●江南の春。 あちらはいいですねえ。どこか日本の故郷みたいで。故郷感が一番日本に近いのは四川省ですが。これは後で触れます。 ある江南の町でのこと。朝、昼、晩とスッポンのブツキリが入ったスープが出る。私は精力的な問題もなかったので、もう飽き飽きしている。 一緒に北京から私についてきた中国人スタッフは、「これ高級料理ですよ。ほら、ここの甲羅の周辺のゼラチン状のところ、一番おいしいんですよ。せっかくだから、食べてあげてくださいよ。ホテルの調理人も一生懸命作ってくれてんだから!」と私に勧める。 あの時は、日本人は私ひとりだったのかな?いやいやあと2人くらいいたなあ。柔らかく煮込まれたスッポンの肉は、さっぱりしていて確かに癖がない。 ただ、ゴジラの足のかけらみたいで見た目はよくない。 とうとう、私は無理な注文を出した。「日本に豊臣秀吉という人がいて、スッポンの生き血を飲んだそうだ。私も飲みたい!」 すると、スッポンで有名な現地の人たちも生きたままのスッポンを調理するのは生まれて始めてらしい。 しばらく相談してから、日本の客人の注文だから、やろうということになった。 調理室まで来てくれという。どうやればいいか教えてくれという。私もそんな料理したことないから、「適当にやってよ!」と答えたらいきなり大きな生きの良いスッポンを調理台の上におき、中華包丁で料理人が「えい」とスッポンの首を落としました(残酷でごめんなさい)。 小さなお椀を下に置いて、たれてきた血を受け止め、私に「これでいいかい?」と渡してくれました。大きいわりにあまり血は出ません。私はここまできたら飲まなければと意を決し、飲みました。 中国人たちも(南を除いて一般的に中国人は生ものを食べません。まして、こんなもの!)注意深く私の顔色をうかがっています。 結論。なんか、血はプリン状態に近くなり、レバーほどでないけど、ゲル状態になっている部分と、まだ血液サラサラっぽい部分が混じっていました。 味は?おいしくない! ただ、今でもあの田んぼの溜池から捕まえてきたスッポンの「ジャリッ」という砂粒の食感だけが残ってます。 もう物好きもこれくらいにしないと。その後、すぐに変な寄生虫とか病気にならないか不安が少し続きましたが、今でも元気ではあります。 この私。(下巻につづく) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2004.11.04 08:17:53
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