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ちゃぴお

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2024.12.30
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カテゴリ:生き物
カマキリの「魚肉 好き子」。出会った時の写真。

10月中旬、出掛けた先で、一匹のカマキリを見つけた。もともとカマキリが大好きで、小学生の頃は数世代に渡って飼育していたものだが、ここ数十年は虫籠が空の状態であった。

見つけた際に持ち帰ろうと提案したのは長男である。長男も虫が好きでよく捕獲を行う。(すぐ飽きて結局逃がすのだが)今回もそうだろうと思いながら虫籠に詰める手伝いをし、自宅に招き入れた。
カマキリはメスであった。腹部が膨らんでおり、妊娠していると踏んだので、とりあえずは産卵までを見届けようと飼育を開始する。

捕獲した時期が既に秋も深まりつつあったときなので、先ずは餌の目処を立てる必要があった。幸い自宅の周囲に草むらが幾つかあり、イナゴやショウリョウバッタも歩けば跳ね回るくらい居たので、最初は容易であった。カマキリ自体はあまり大食いではないが、それでも妊娠した成虫の個体の食欲は旺盛であり、放り込んだ餌達は一分と持たぬまま鎌に封じられた。

自分が小学生の頃に飼育していた時は知らなかったのだが、カマキリはおお喰らいでこそないが、水はガブガブ飲む。実際虫籠に水滴を滴らせておくと自身から口に含みに来る。餌は動くものにしか反応しないのに。水分に関してはそんな悠長に構えていられないらしい。年食ってから飼育すると、また様々な生態が観察出来、新鮮である。

11月に入り、野に昆虫が少なくなってきた頃に産卵を行う。しばらく飼育していても全く産卵する気配がなかったので、腹の膨らみはもしや黒きハリガネのアイツではないかと寒心しつつあったが、無事卵嚢をムリムリッと出し尽くし、わしもほっと胸を撫でおろすことが出来た。


産卵直後の魚肉好き子。ちなみに直前までイナゴをバリバリしていたので、グルーミング中。


さて、当初の目的である産卵を終えたわけであるが、ここで自分の中である好奇心が湧く。

「カマキリはどこまで生きていられるのか」

通常、カマキリは産卵で多大な体力を消耗し、その後は衰弱してすぐ死んでしまう。加えて冬の足音がし、気温が低下する野生下の環境では輪をかけて長くはない。
しかし室内環境で気温を安定させ、気合で餌を調達したらどうなるか。滾る童心と、一ヶ月以上共に過ごして湧いた愛着心の両面から出来るだけ長く飼育を試みてみることにしたのである。


魚肉を喰らう魚肉好き子。


時は既に12月が見え始めている。あれだけピョンピョンピョンピョンしていたバッタ達ももはやなく、餌の確保が急務であった。
インターネットで調査すると、カマキリの越冬についての記述がヒットし、その中で人工的な餌についても言及があった。
その内容は「魚肉 鶏肉 豚肉」をよく食べるとのこと。早速冷蔵庫を漁り、肉の類を調達した。妻はいきなり肉をガサガサ集めだした俺を何をし始めたとのか理解が出来ない、形容し難い表情で見る。子どもはとうに飽きているのは言うまでもない。
小学生以来の、カマキリと一対一での飼育関係が再来したのである。

カマキリには個体によって好みがある。と過去の飼育経験から思う。例えばイナゴは残さず腹におさめるが、ショウリョウバッタは全く食わないといった具合だ。人工的な餌においてもこの法則が当てはまるかは不明であるが、それでも頬張る肉には好みが見られた。
その中でも魚肉は口に合うようで、今まで捕食していた昆虫よりデカい肉塊を放さず食い尽くしていた。
このときよりこのカマキリの名を
「魚肉 好き子」
と命名。我ながらセンスが光る会心の名付けである。

人工的な餌でなんとか魚肉好き子の糊口を凌がせることに成功するが、やはり生きている餌が最高であることには変わりがなく、加工肉を爪楊枝に刺し、眼前でぶらつかせる傍ら、出掛けた際には寒空の下で昆虫を探す日々となる。
とはいえ、もはや時期的には越冬をする昆虫しか残っておらず、その中でカマキリの餌となり、かつそのへんにいるとなるとカメムシしか選択肢がないのであった。まさかカメムシを血眼になり探す時がくるとは。人生、何がどうなるかなど、だれにもわからんな。

なお、カマキリは安全な場所で人工的な餌ばかり食べ、所謂ハンター業を全く行わなかった場合、周囲の物に対して反応が鈍くなり、動きも緩慢になるらしい。昆虫もやることやらないとおかしくなる。

そんな大半人工餌たまにカメムシの生活を続けて数週間。なんと魚肉好き子が二度目の産卵を行う。調べてみると、十分な栄養と安定した環境があれば、複数回の産卵も珍しくはないらしい。また新しい知識を得た。

二度目の産卵を終えた魚肉を食ってる魚肉好き子


そしていよいよカメムシも見つからなくなった12月下旬。魚肉に加え生ハムも大好物であると判明した魚肉好き子であったが、その数日後の初雪が降るクリスマスの日に静かに虫籠の底に体を横たわせ、生涯を終えた。
もともと、秋の下旬には死すべきものを無理矢理のような形で延命させていたので、果たして魚肉好き子の内心は如何に、といったところであるが、しかしそのおかげで二個目の卵嚢もムリムリッとひり出せたので、繁殖的な意味では本懐だったのではないだろうか。知らんけど。

魚肉好き子の遺骸は土葬も考えたが、やはりカマキリは草原に生き草原に死すのがあるべき姿ではないかと思い、自宅の真横の草むらに安置した。さようなら魚肉好き子。
























一つ誤算があった。本来自然界の分解者である蟻達であるが、彼らも冬になり仕事納めでいなくなって久しいのである。よって、自宅の横の草むらには今も魚肉好き子の遺骸がそのまま手付かずでゴロンとしているのだ。なんとなく気まずいので儂は自宅から出る際は草むらを見ないようにして歩き始めている。多分春先まで骸を晒すことになるであろう。ごめんちゃ。

という訳で、いま我が家には魚肉好き子の遺した卵嚢が二つある。暖かくなれば、彼女の子ども達が数百匹這い出てくるであろう。その子らをまた飼育するかはわからないが、もし機会があれば、魚肉好き子との経験を活かし、更に長生きさせてみたい。



















無精卵でなければ、であるが。





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最終更新日  2024.12.30 18:37:06
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