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本のある森

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本の紹介・そのほか

2020.09.28
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椎名誠の作品は昔『アド・バード』を読んでいてすごく好きだったのだけど、他の本はあまり読んでいなかった。
それがAmazonのKindle Unlimitedに『旅する文学館シリーズ』が入っているのを見つけて、ちょっと読んでみるとやっぱり面白くて、2年くらいかけて全部読んでしまった。以来、椎名誠は好きな作家さんのひとりになった。翻訳物ばかり読んでいる自分としてはかなり珍しい。

この本はパタゴニア旅行記。でか足国とはパタゴニアのこと。1521年、マゼランと共にパタゴニアを訪れたアントニオ・ピガフェッタという人が「この国には巨人が住んでいる」と書いていて、別の記録によるとその足跡は45センチもあったらしい。
帆をあげると動かなくなる帆船、土台がそりになっていていつでも引越しできる家、どんなに焚いても暖かくならない焚火、地球の反対側にあるうどんそっくりな麺(所謂スパゲティの味付けで食べる。給食のソフト麺みたいなかんじ?)など変なものがたくさん。著者おすすめの本や雑学、昔の旅の話も楽しい。ただ若干グロ描写があるのでダメな人もいるかも(羊の丸焼きを作るシーンとか)。
個人的にはお茶の発音の『チャ』と『テ』の違いががどうしてできたのか、あとキタヴァという島で現地の人とサメの丸焼きを食べながら、お互いの言葉で「うまい!」と言い合うエピソードがよかったです。憧れる。
もし来世、そこそこ健康な男性に生まれたら、こんなふうに世界中を旅して回りたいなあ、と椎名さんの旅行記を読むたび思っている。



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最終更新日  2020.09.28 20:00:08


2020.07.30
アーヴィングによるグラナダ旅行、アルハンブラ滞在記の下巻。
​は半分以上が現地の様子やスペインの歴史、アルハンブラ宮殿に住む人々の描写で占められていたが、下巻は民間伝承がメイン。彼が滞在中に出会った人びとから聞いたり、資料にあたったりしたエピソードをまとめたもので、伝承を聞き取ってそのまま書き留めたもののよう生々しさはないものの、どれも読みごたえがある。

特に印象に残ったのは、イスラム教徒の王女たちとキリスト教徒の騎士たちの恋を描いた『三人の美しい王女の伝説』。それぞれ性格の違う三人の王女たちはもちろん、乳母のカディジャが賢く、ずぶとく、ちゃっかりしていて魅力的。
そしてその続編の『アルハンブラの薔薇の伝説』。こちらは前作でただ一人幸せになれなかった王女の霊が現れ、少女の恋を成就に導く。ロマンティックな物語と思いきや、ラストのオチが秀逸である。そう来るか。

この本に収められた伝承には、キリスト教とイスラム教の軋轢が必ずと言っていいほど描かれている。宗教の違いは恋人たちを引き裂き、ときに取り返しのつかない悲劇にも導く(『ドン・ムニョ・サンチョ・デ・イノホサの伝説』)。イスラム教の王女たちは美しく、王や若者は情熱的に描かれ、どのエピソードも魔法に彩られている。そしてその魔法を解いて魂を救ったり、宝物を見つけ出したりするのはキリスト教の護符や聖人の力である。このあたり、イギリスの妖精たちとキリスト教の関係を思わせる。

伝説に夢中になっていると、『グラナダに別れを告げる』でなんの前触れもなく紀行文は終わる。「こんなにいきなり?」という感じだが、大統領からの召喚状を受け取った時の著者の驚きはそれ以上だったに違いない。

余談だけれど、著者のアーヴィング氏、窓から人々を眺めてロマンティックな空想を巡せたあとに味もそっけもない事実を聞かされてがっかりしたり、騎士道精神に憧れたり、眼に見えないものの存在を信じたり、なんだかかわいらしい。
いつかコロナが完全に終息したら、この本を片手に自分の眼でアルハンブラ宮殿を歩き、ライオンの広場やリンダラーハの庭、ヘネラリーフェ離宮やラス・インファンタスの塔を見て回りたい。と、出不精な自分でも思ってしまう、素敵な本。



アルハンブラ物語(下) (岩波文庫) [ ワシントン・アーヴィング ]


電子書籍版もあります

アルハンブラ物語 下【電子書籍】[ アーヴィング ]







最終更新日  2020.07.30 20:00:07
2020.07.26
アメリカ公使館書記官アーヴィングはスペイン旅行の途中、思いがけない幸運からアルハンブラ宮殿に滞在することになる。このアルハンブラ宮殿、当時はなかば廃墟となっていて野良猫や浮浪者が棲み着いたりしていたのだけれど、この本がきっかけで一躍有名になり、世界遺産に認定された。
序盤ではグラナダの風景や、現地の人々の貧しくとも底抜けに明るい生き方が描かれる(旅)。アルハンブラ宮殿到着後は宮殿内の様子や、キリスト教とイスラム教のふたつの勢力の間で翻弄されたグラナダの歴史が綴られ(アルハンブラ宮殿~グラナダの大祝祭)、更に民間伝承を集めた章へ(アルハンブラの民間伝承~)。
この巻では歌劇『金鶏』の元ネタになった『アラブの占星術師の伝説』のほか、ライオンの中庭の因縁話など、いくつかの伝承が収められている。案内人のマテオや管理人のアントアおばさん、姪のドロレスなど、宮殿で出会う人々も魅力的。

子どもの頃、『アラブの占星術師の伝説』の抄訳が好きだったのだけど、完訳版では王様と占星術師の関係がけっこうドロドロしている。そういえば千夜一夜物語の『カマール王子とブダール王女』のお話も、子供向けの抄訳では結婚してめでたしめでたしだったのに完訳ではとんでもないドロドロの続編があるのだった。完訳はきびしい。



アルハンブラ物語 上【電子書籍】[ アーヴィング ]






最終更新日  2020.07.28 14:14:05

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