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本のある森

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本の紹介・児童書

2020.08.08
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カテゴリ:本の紹介・児童書
『借りぐらしの小人たち』から始まる小人の冒険シリーズ、最終巻。前作『空をとぶ小人たち』から21年を経て書かれた作品です。
一度完結したのになぜ、とも思いますが、前作を読んだ後、気になることもありました。彼らはあの後どうなったのだろう。ちゃんと自分たちの棲みかにたどり着けたのだろうか。アリエッティたちを捕まえて見世物にしようとしたプラター夫妻は簡単に諦めてくれただろうか‥‥。
全く諦めてなんかくれませんでした。
小人たちが屋根裏から逃げたと知った夫妻は、ポッドさんのミニチュアの村に忍び込んでまた彼らをさらおうとします。幸いアリエッティたちが逃げたあとだったので、この試みは失敗に終わります。
スピラーの助けを借りて逃げ出したアリエッティたちは古い牧師館に住むことになり、そこで離ればなれになっていた仲間と再会します。また、以前ちょっとルーピーおばさんの話に出てきた別の一族の少年と出会います。
やっと落ち着ける、と安心したのもつかの間、プラター夫妻の魔の手は今度はアリエッティが弟のようにかわいがっているティミスに迫ります。ラスト近くはハラハラドキドキの展開です。


これでシリーズは“ほんとうに”完結してしまいましたが、彼らの冒険はまだ続くことでしょう。それは、『空をとぶ小人たち』のラストに描かれたアリエッティとスピラーとの未来や、この本の最後のピーグリーンのセリフ「ほんとうにぼくたちは安全かねえ? いつまでも?」というセリフに表れていますし、なにもかも整いすぎた、努力のいらない生活は、借りぐらしの小人たちの息吹を奪ってしまうものだからです。
だとしたら『川を下る小人たち』でホミリーがあんなに生きいきしたのも頷けます。



小人たちの新しい家—小人の冒険シリーズ〈5〉 (岩波少年文庫) 【中古】



小人たちの新しい家【電子書籍】[ メアリー・ノートン ]

残念ながら絶版のようです。購入したい方は古本か電子書籍版で。








最終更新日  2020.08.08 20:00:07


2020.08.06
カテゴリ:本の紹介・児童書
主人公のメグは不器量で学校の勉強が苦手、おまけに短気で怒りっぽい女の子。数学の才能はあるのだが(文系は全滅らしい)、学校での“教えられた通り”に解くやり方についてゆけなくて成績を落としてしまうのだ。
彼女の一番の悩みは、行方不明になってしまった科学者の父親のこと。どうも政府の仕事で、しかも地球外で消息を絶ってしまったらしい。
そんなある日、メグの家に古いオーバーと色とりどりのスカーフに身を包んだ奇妙な女性がやって来る。彼女の訪問をきっかけにメグは謎の女性たちと知り合い、天才児の弟のチャールズ、霊感を持つという少年カルビンとともに行方不明の父親を探す旅に出る。メグの父は惑星『カマゾッツ』にとらわれていた。実は今、宇宙のすべてが暗黒との戦いを繰り広げており、キリストもシェイクスピアもガンジーも地球の戦士だったのだ。
(余談ですが80年代日本のオカルト界でこれに似た設定の“光の戦士探し”があったらしいです。関係はあるんだろうか)

原題は『リンクル・イン・タイム』。直訳すると時間のひだ。メグたちが空間にひだを寄せて別の星へ移動するので、そこから来ているらしい(ワープ航法みたいなものか)。じゃあ邦題の『五次元』はなにかというと、この移動方法、作品中では『五次元運動』と呼ばれているのだ。だから正確には『五次元世界の冒険』というより『五次元運動を使った冒険』になるのかも。でもそれだとタイトルとしてはすっきりしないし、難しい。

この作品、『ニューベリー賞』というアメリカのすぐれた児童文学に与えられる賞を受賞していて、最近映画化もされた。映画版は個人的には大満足の出来。特に惑星ジューリエルの美しさとカマゾッツの子どもたちの不気味さは想像以上だった。
実は三部作らしく、そのせいか暗黒との戦いやカマゾッツの敵の正体など、この作品だけではよく分からない部分がある。終わり方も唐突(その点は映画版は一本の作品としてよくまとまっていた)。
続編は一応邦訳されているのだけど、本書と共に現在入手困難。しかも読んだ人によると“ものすごくつまらない”らしい‥‥でも愛着のある作品なので読んでみたい。

今おすすめするなら映画版のほうかもしれません。


『五次元世界のぼうけん』
マレデイン・レングル 原作
渡辺茂夫 訳
あかね書房
国際児童文学全集 9 アメリカ編



リンクル・イン・タイム [ オプラ・ウィンフリー ]


動画配信版はこちら

リンクル・イン・タイム【動画配信】






最終更新日  2020.08.06 20:00:08
2020.08.04
カテゴリ:本の紹介・児童書
てつたくんとみつやくんのきょうだいは、ある日森の中で大きな卵を見つけます。卵から孵ったのはなぞの怪獣へなそうる。
しましま模様でカバのような顔をしたへなそうるは、食いしん坊で身体は大きいのに臆病者。生まれたばかりでなにも知らないため、チューインガムをひと飲みにしたり、てつたくんたちの話に出てくるカニやおたまじゃくしを恐ろしい生き物だと思い込んで怖がったりします。
2人の男の子と怪獣の交流を描いた名作童話。挿絵は「ぐりとぐら』の山脇百合子さん、文章は『エルマーのぼうけん』などの訳で知られる渡辺茂男さん。

へなそうるの想像するカニは必見。これはたしかに怖い。あの笑顔が特に。続編も出してほしかった。




もりのへなそうる (福音館創作童話シリーズ) [ 渡辺茂男 ]






最終更新日  2020.08.04 20:00:06
2020.07.23
カテゴリ:本の紹介・児童書
ついに憧れの地、リトル・フォーダムにたどり着いた、アリエッティとポッド、ホミリーの3人。リトル・フォーダムは、もと鉄道員の男性、ポットさんが趣味で作ったミニチュアの村なのですが、あまりに出来が良いので見物客が訪れるようになっていました。そこでお客さんが落としていったものを“借りれ”ば、充分に生活することができます。アリエッティはここでも、ポットさんの親友で妖精を信じる女性、ミス・メンチスと仲良くなり、幸せなひと時を過ごします。
ですがそんな日々も長くは続きません。もうひとつの模型の村の持ち主、プラター夫妻が小人たちの存在を知り、3人をさらって屋根裏部屋に閉じ込めてしまうのです。見世物にされることを知ったアリエッティたちは気球を作り、屋根裏から脱出します。
無事リトル・フォーダムに帰還した3人ですが、アリエッティが人間に“見られて”いたことを知った父親のポッドは‥‥。

小人の冒険シリーズもついに4巻目。小さな女の子だったアリエッティも16歳になり、旅の途中で出会った借りぐらしの少年スピラーとの結婚を考えるようになります。また、家族の中での自分の働きを認めてもらいたがったり、孤独を感じたり、思春期の女の子らしい心の揺れが描かれます。

借りぐらしの小人、というと、人間からものを“借りて”(わたしたちの眼から見れば盗んで)生きている人たち、という印象が強いのですが、それ以上に自由を求める人々です。
ただ、本来の借りぐらしの求める自由とアリエッティの求める自由には、ずれがあります。本来の借りぐらし、つまり、父親のポッドや母親のホミリーにとっては“人間にとらわれないこと、知られないこと”が自由であり、床下や穴の中に隠れて住むことには不自由を感じません。ささやかな世界でも、自分の足で立ち、自分で獲物を取ってきて暮らすことが自由なのです。ですが、アリエッティは、人間にとらわれることはもちろん嫌なのですが、それと同じくらい隠れ住むことに息苦しさを感じ、更に人間たちとの交流という自由を求めてしまいます。
アリエッティがこの後、人間たちに“見られ”たのかはわかりませんが、エピローグによれば、両親よりはずっと自由な生活を送ったようです。

これで完結のようなラストになっていますが、更にもう1冊、『小人たちの新しい家』という物語が書かれています。



空をとぶ小人たち新版 (岩波少年文庫) [ メアリ・ノートン ]


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空をとぶ小人たち【電子書籍】[ メアリー・ノートン ]






最終更新日  2020.07.23 20:00:07
2020.07.11
カテゴリ:本の紹介・児童書
『床下の小人たち』『野に出た小人たち』に次ぐシリーズ三作目。
やっと森番小屋の親戚のもとにたどり着いた小人の少女アリエッティ、父親のポッド、母親のホミリー。けれどもある出来事から三人はまた旅に出ることに。目的地は『リトル・フォーダム』。どうもここはミニチュアのテーマーパークらしい。家も住人もすべて作り物だから、どこでも好きな家を選び、客が落としていったものを借りて暮らすことができるのだ。前作で知り合った少年スピラーの助けを借りて下水から川へ。途中やはり前作で小人たちを捕まえたマイルド・アイに遭遇し、大ピンチに。


川をくだる小人たち新版 (岩波少年文庫) [ メアリ・ノートン ]
この物語の主人公はいうまでもなく一人娘のアリエッティなのだけれど、この巻では母親のホミリーの変化がよく描かれている。外の世界を恐れ、夫のポッドが取ってきたもので家を飾り付け、小さな住処を心地よく保つことが好きだったホミリー。二巻では野外生活を受け入れられず、いちいち不平を鳴らしたり、節約しなければならない火を使ってお茶を飲んだりしていたが、この巻で下水から小川に出たあたりから外の世界のすばらしさにはっきりと眼を向け始める。

「虫ずきなんてもんじゃないし、ね、ポッド、今までだってもそうだけど。それに、清貧に甘んじるなんてのもごめんだね--そんなものがあったとしたって。だけど、こんやは」ーーホミリーは、あたりの平和な光景を見回しましたーー「こんやは、なんか、いいぐあいね」(14 やかんの宿)

だけど、ミミズを見て「シチューにできるかも」と言い出すところはあんまりにも外に慣れすぎなんじゃないかと思います。ピンクの限定だそうですが。


川をくだる小人たち【電子書籍】[ メアリー・ノートン ]
電子版だとちょっとお得です。






最終更新日  2020.07.11 21:00:06
2020.07.10
カテゴリ:本の紹介・児童書
『床下の小人たち』から始まる『小人の冒険シリーズ』二作目。ある事件から棲みかを追われた主人公のアリエッティ、両親のポッドとホミリーは野原をさまようことに。前作ではドールハウスのような暮らしをしていた三人だけれど、今回は野原でのサバイバル。人間のわたしたちにとってはちょっと散歩する程度の距離でも、彼らにとってはときに命がけの大冒険だ。古靴を棲みかにしたり、食べられそうな木の実を集めたり。お母さんのホミリーは元の暮らしを懐かしがって不平たらたらだけれど、アリエッティは新しい生活を思いきり楽しみ、野外生活を送る小人の少年スピラーとも出会って世界はさらに広がってゆく。


野に出た小人たち新版 (岩波少年文庫) [ メアリ・ノートン ]
このシリーズ、小人たちの生活や彼らから見た自然の描写が素晴らしいのはもちろん、とにかく小人の物語へ導入部分が素晴らしい。冒頭の、ケイトとメイおばさんが屋敷や小屋を見に行く部分は、アリエッティのその後を早く知りたい人ならいらいらしてしまうかもしれない。でも、この導入が物語のリアリティを増しているのだ。前作の最後に届けられた人形の家具たちの意外なゆくえなど、期待通りにいかないエピソードもなんだかほんとうらしい。
この巻で登場するスピラーは孤独を好む借りぐらしである。そうした小人は人間と親しくなりやすい。安全な生活を息苦しく感じるアリエッティも、前作でこっそり人間と親しくなっていたポッドも、孤独を愛する変わり者の小人なのだ。対してホミリーはおそらく典型的な借りぐらしで、安全できちんと整えられた生活を好み、贅沢をしたがったり、見栄を張ったり、ほかの借りぐらしの女性を妬んだりする。小人らしい小人のほうが人間的なのは興味深い。でも、世界を広げてゆくのはスピラーやアリエッティ、ポッドのような変わり者たちなのだと思う。小人でも人間でも。






最終更新日  2020.07.10 19:30:05
2020.07.09
カテゴリ:本の紹介・児童書
人間の家の床下や壁の中にこっそり棲みついている小人たちがいる。彼らは人間の食べ物や小物を“借りて”暮らしている。(人間から見れば盗みだけれど、彼らは借りているだけだと主張している。もし小人が別の小人からものを奪ったら盗みになるけれど、人間から分けてもらうのは盗みにはならないらしい)
小人というとなにか不思議な力を持っていそうだけれど、借りぐらしの小人たちは魔法など、特別な力はない。ただ、ほんのすこしだけ腕や脚が長く、手が大きいというだけだ。わたしたち人間の身の回りからものが際限なくなくなるのは、彼らが借りてゆくせいなのだ。だらしがないせい? そんなことはない。だって、借りぐらしの小人たちは整理整頓されている家のほうが好きなのだから。ものがいつもきちんと同じところにあるほうが借りやすいのだ。
主人公はこの“借りぐらしの小人”の女の子、アリエッティ。好奇心旺盛で、今の穏やかで恵まれた暮らしを息苦しく、閉じ込められていると感じている。ある日、お父さんと一緒に借りに出たアリエッティは屋敷で療養していた少年に見られてしまい‥‥。
切手を壁に飾ったり、チェスの駒を置物にしたり、ピンをうまく使ったり、小人たちの借りぐらしの描写が丁寧で、もしかしたらどこかに実在するのでは、とうっかり思ってしまう。ラストではすべてが少年の作り話の可能性を示しているけれど、アリエッティの冒険は二巻、三巻と続いて行く。ジブリもアニメ化した児童文学の名作。未読の方は是非。



床下の小人たち新版 (岩波少年文庫) [ メアリ・ノートン ]

以下ネタバレを含みます。
子どものころに1巻だけ読んで放置していたものを最近になって読み返している。1巻目のラストで屋敷を追われたアリエッティ、ホミリー、ポッドの一家は冒険を続け、最終巻のタイトルから察するに別の家に落ち着くようである。
子どものころはとにかくこの“借りぐらしの小人”の設定が衝撃だった。同時期に読んだ『ノーム』『秘密のノーム』と同じくらいリアリティを感じてしまい、ほんの短い間だったけれど、借りぐらしの小人もノームも本当にどこかにいるのだ、と信じていた。もちろん自分の家にはいない。ここは日本だし、母がルーズな性格で、あまり整理整頓されていなかったからだ。でもきっとイギリスにはいるだろう。ヨーロッパにもいそうだし、アメリカにもいるかもしれない(人間についてアメリカに渡らなかったなんて、だれが言えるだろう)。だからある時「あれはもしかして作り話なのでは‥‥」と気づいた時にはけっこうなショックを受けた。
信じていた夢を作り話と悟るのはつらいことだ。でも、もしかしたらその作り話には、ほんのわずかな真実が含まれているのかもしれない。もしかしたらどこかの誰かが一瞬だけ、本物の借りぐらしの小人を見たことがあるのかもしれない。創作とわかっていてもついそんなふうに考えながら読んでしまう。



『中古』新版 ノーム

『ノーム』『秘密のノーム』はサンリオから出ていた大型絵本。現在は残念ながら絶版。森に暮らす小人ノームの生態がオールカラーで詳細に描かれている。読み返してから改めて取り上げたいと思います。








最終更新日  2020.07.09 20:00:08
2020.07.08
カテゴリ:本の紹介・児童書
スウェーデンの子どもたちの暮らしぶりを描いた作品。『やかまし村』は高台に家が三つ並んでいるだけの小さな村。村の子どもは6人だけ。ガキ大将のラッセ、弟のちょっとぼんやりしているボッセ、語り手であり、ラッセとボッセの妹のリーサ、ロマンティストのアンナと現実主義者のブリッタ姉妹。動物好きで妹を溺愛しているオッレ。
著者のリンドグレーンはお転婆な女の子の活躍を描いた『長くつしたのピッピ』で有名だけれど、こんなすてきで穏やかな生活童話も描いているのだ。大きな事件は起こらない。いや、吹雪で遭難しかけるとか、そのために意地悪な靴屋のスネルさんの家にお世話になるとか、スネルさんにいじめられているかわいそうな犬を引き取るとか、妹が生まれるとか、現実の子どもたちにとっての大きな事件はたくさんある。
この物語の初版が出たのは1950年頃。作者のリンドグレーンは自身の子ども時代の経験をもとにこれを書いたといわれているから、もう少し昔の子どもたちの話だ。時代も国も違うのに、日本の子どもとやることはあまり変わらない。おままごとの家を作ったり、栞のコレクションを交換したり、“石から落ちたら死ぬゲーム”をしたり、仲間内でしかわからない言葉でしゃべったり、ごっこ遊びで冒険したり。いやいや、今の子は外で遊ばない、そんなのは昔のことだ、という人もいるかもしれない。でも、こうした遊びのエッセンスは所謂ソシャゲの、自分の家を飾り付けたり、アイテムを交換したり、一緒に冒険したり、という部分に受け継がれている、という気がする。
当時の、そして緯度の高い地域ならではのエピソードもたくさんある。人付き合いの極端に苦手な人が無理なくコミュニティに加わっていたり、やかまし村のたったひとりのおじいさんがとても大切にされていたり、白夜の中を遅くまで遊んで親を心配させたり、夏至の占いをしたり、みんなでザリガニをつかまえたり。
全3巻だけれど、どの巻から読み始めても問題はない。ただ、『やかまし村の子どもたち』『やかまし村の春夏秋冬』『やかまし村はいつもにぎやか』の順に読むと、一人っ子だったオッレの家での妹の誕生や、意地悪なスネルさんってちょっと偏屈なだけでそれほど意地悪でもないんじゃ‥‥といったキャラクターの印象の変化などが楽しめる。
やかまし村はいつもにぎやか (岩波少年文庫) [ アストリッド・リンドグレーン ]


また、この物語は映画にもなっている。『やかまし村の子どもたち』『やかまし村の春夏秋冬』の二本。エピソードは上の三作から選ばれていて、脚本はリンドグレーン自身。原作のイメージを大切にした良作である。


やかまし村の子どもたち 【中古】


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最終更新日  2020.07.08 22:00:07

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