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January 15, 2006
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カテゴリ:to kill time





「怖いけど、見てみたい」
そんな気持ちを、人は誰でも持っていると思う。









それを見てしまうと、必ず恐怖で身の毛もよだつであろう、
ということは容易に想像出来るのに、見てみたいと思ってしまうのは何故だろう?








昨日、とんでもないモノを見たせいか、ふと思い出したことがある。








あれはもう十年も前の話になる。








当時、私は母の行きつけの美容院のおじさんと仲が良く、
彼氏と二人で部活動のあとなどによくその店に行っては、おじさんに遊んでもらっていた。








そのおじさんの部屋にはマーダーケースブック(※)をはじめ、
一風変わったフィギアなど、数々の私にとっては理解出来ない不思議なもの達で埋め尽くされていた。
(※デアゴスティーニから1995年9月~1997年8月まで刊行されていた、犯罪者を特集した週刊誌)








おじさんと当時の彼氏は気が合ったらしい。
私と一緒でなくても、一人で店に足を運んでは本やビデオを貸してもらっていたようだった。








ある夏の日だった。
私は母のおつかいで、その店に行くことになった。








「あれ、今日は一人?」

「はい、母のおつかいで…」

「今、うちのやつ、ちょっと出とるんよね。だけ、これ預かっとくよ」








「そうそう、調度良かった。
前にケンジくんから頼まれとったやつ、ダビングしといたから渡してくれん?」

「何のビデオですか?」

「これ?デスファイルって知ってる?死体集のビデオ。
溺死体とか、事故死体とかが延々収録されてる…ケンジくんが興味を持ってさ」

「へ…へぇ~」








「ケンジくんは変わったコやけ、見ても大丈夫そうやけど、郁ちゃんは見ない方が良いよ」








預かったビデオテープは一本。
デスファイルとやらとアニメがダビングしてある、とおじさんは言っていた。








おじさんやケンジが見る、ということはかなりグロイ映像なのだろう。
見たら必ず気分が悪くなる、ということは想像出来た。
しかし、見ない方が良い、というおじさんの言葉は、逆に私の好奇心をかき立てた。








自宅に帰り、ビデオを再生した。しかし―








そこに映し出されたのは、砂嵐の様なノイズだけ。








アニメの方は再生出来ても、
デスファイルだけは何度トライしてもノイズがただ延々と映し出されるだけだった。








ビデオテープかデッキの不具合?
不思議に思ったが、そのテープをそのままケンジに渡した。
アニメは見ることが出来たが、デスファイルだけは見られなかったという言葉を添えて。








ビデオテープを渡した翌日、ケンジは言った。








「アニメもデスファイルもちゃんと見れたよ。可笑しいね」








うちでは駄目だったが、ヤツのうちではちゃんと再生されたらしい。








同じ夏、肝試しと銘打って、ヤツのうちで件のビデオテープを見よう、という話になった。
その肝試しに、勿論私も参加した。
そして、その時も不思議なことが起こったのだった。
私が居ると、やはりノイズしか再生されないのだが、
トイレなどで席を立った途端、映像が映し出され、戻ってくると再びノイズに変わる、という現象が。








「不思議やね、さっきまでちゃんと映っとったのに」
「いっちゃんは見たらいけんっち、見えない誰かが言っとるんよ」








友人達の言うとおり、誰かが私に見てはいけない、とそうしていたのか…
十年経った今でも、そのテープの中身を私は知らないでいる。








そうそう、昨日の日記の車。
仕事の帰りに前を通ったら、やぱり何も乗っていませんでしたよ。
あれは雨が見せた幻覚だったのか、何だったのか―








「怖いけど、見てみたい」
そんな気持ちを、人は誰でも持っていると思う。











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Last updated  January 15, 2006 01:39:42 PM
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