殺人2本立て
渋谷で「モンスター」>女優とは、かくも恐ろしい存在なのかと痛感した。別人と思える外見が、まったく違和感なく彼女がまさに「アイリーン」でないかと錯覚する。虐げられた存在、知性や教養、気品とは無縁の世界に生き、娼婦として得た金をほんの一時の「息抜=酒」に使い果たす。人生で初めて得た安楽が彼女の破滅を加速させる。愛する人を自分の手で幸せにしようと、もがくが無知というレッテルだけが貼られ抜けだせない絶望が横たわる。男への憎しみと愛のため生きる術が殺人を彼女に重ねさせる。そして、同情するに値しない罪だけが彼女に残る。私は、彼女にも彼女が愛した唯一の存在セルビーにも共感はしない。ただ、強く逞しい頼れる男のように振舞う姿、愛する人を巻き込まないように(と解釈したい)配慮した姿が、どうしようもなく救われない存在に見えてならなかった。男を憎みながら皮肉にも、強く見せる為に男のように振るまい、愛する者の裏切りを感じながらも独り悪を抱え込んで、ぶつける所の定まらない暴言だけを吐き捨てる。社会の歪みが生み出した悪しき者。そうなる運命が生まれながらに決められていたように去っていった彼女。彼女の存在が現実であったように、今でも未来にも歪みが生み出す悪は絶えず存在することを自分達は知っている。毎日、どこかで凄惨な殺りくが起こっているのだから。同じ殺人でもブラックコメディ「隣のヒットマンズ」>かなり割り切って観たので面白かったです。確かに前作を観た方がいいですね。さっき帰宅してから前作のチラシを観ました。ケツが痛いのをあくまでも階段から落ちたせいと、自分に思い込ませるギャグのリピートは笑えます。思いがけず奪われたときってそう思うものなのか?