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私の沼

私の沼

コンビニ






コンビニ








「笑わなくていいよ」と
店長が言ったので
わたしは笑わなくなった
一本調子で値段を読み上げるだけ

夜のコンビニに、エロ本を買いに来る男を
警戒するようになった
バイト終了時間の待ち伏せが怖い
一度でもそういうことが起これば
そういう目で人を見るようになる
ほとんどがそんな人じゃないと思っても

男だけじゃない
女だって、エロ本は買う
買って読んで捨てる、資源ゴミの日に、新聞に混ぜて
男はどこに捨てるんだろう

みんな、おなかが空くと
監視カメラから隠れた場所で適当に店のものを食べていた

暗闇の中で明るく煌々と
屹立する夜の避難所

懐かしい、懐かしくて吐きそうだ

どうだっていいけど店長
奥さんがいない間にわたしに触ろうとしないで
もうぜったいに
笑わないから











初出 現代詩フォーラム2004・9・27


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