コンビニコンビニ 「笑わなくていいよ」と 店長が言ったので わたしは笑わなくなった 一本調子で値段を読み上げるだけ 夜のコンビニに、エロ本を買いに来る男を 警戒するようになった バイト終了時間の待ち伏せが怖い 一度でもそういうことが起これば そういう目で人を見るようになる ほとんどがそんな人じゃないと思っても 男だけじゃない 女だって、エロ本は買う 買って読んで捨てる、資源ゴミの日に、新聞に混ぜて 男はどこに捨てるんだろう みんな、おなかが空くと 監視カメラから隠れた場所で適当に店のものを食べていた 暗闇の中で明るく煌々と 屹立する夜の避難所 懐かしい、懐かしくて吐きそうだ どうだっていいけど店長 奥さんがいない間にわたしに触ろうとしないで もうぜったいに 笑わないから 初出 現代詩フォーラム2004・9・27 |