279126 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

私の沼

私の沼

美しくない場所で

砂利道を歩いていたら駐車場に入り込んでいた
小さなアパートからぼんやりと光が放たれている
こちら側に足を向け男が寝転んでいる
手には携帯を持っているようだ
テレビがついていてちらちらと画面が動いている
砂利道だから音が出るのが怖い
気づかれたらどうしよう少し怖い

自転車で走る夜の散歩道
気がつくと団地の側にいた
団地は大きな都営住宅みたいで
外側に向かい窓が開け放たれている
暑いせいだ
同じ間取りの部屋が連なり
大抵の家の居間に食器棚が置いてあるのがぼんやりと見える
電気の傘も良く似ている
黄色い光
カーテンが風で揺れてる

けして美しくないところで人は皆暮らしているのだ

通れそうに思えた路地が行き止まりで
行き止まりの家では夏の夜窓を開けて中が丸見え
ごめんなさい間違えました
そう心の中でつぶやきながら目線はつい
擦り切れたソファに横になっている誰か
誰か
わたしは見ないようにするけれど耳の後ろについている器官が何かを







© Rakuten Group, Inc.