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たとえば、日本ではパパイヤ、マンゴーなどというのは、割にイメージがよく、どこかしら南方への憧れすら漂わせている。
果物屋での扱いは丁寧だし、そこそこお値段がする。何より地方では手に入りにくい。 それがタイでは、いい年こいたおじさんもつい「ウッソー」と上ずった声を上げてしまうほどの値段で、そこらじゅうに山ずみして売られている。 安いわ珍しいわで毎日食べる。食べて食べて食べまくる。あしかし、その夢中でかぶりつく時期を過ぎると、意外に品のない果物のように感じられてくる。価値観なんてけっこういい加減なものである。 どこが駄目かというと、まず、やたらべたべたするのがいけない。べたべたする果物は多いけれど、べとつき方どうにも幼稚だし、果物がやわ過ぎる。そこら中に生えているのもありがたみがない。 パパイヤは食べて種をその辺に吐き出しておけばまた生えてくる。パイナップルだって、頭のぼさぼさを湿ったところにおいておけばすぐに根を張る。 田舎ではどこの家にもマンゴーの木の一本や日本生えていて、マンゴーの季節なんて市場はマンゴーだらけである。大風が吹いた翌朝など、みんなが落ちたやつを拾って持ってくるから、洗面器一杯が1バーツということもある。 でも決してパパイヤやマンゴーがおいしくないというのではない。タイにはドリアンを始め、他にそうそうたるメンバーが控えているので、無理して口にしなくても言いといいうだけのことである。品位にはかけるけれど、これはこれで十分おいしい。 そのドリアンだけれども、こいつはイメージにそれほど狂いがない。よく話のタネにされる果物だから、ドリアンが「果物の大様」と呼ばれていることはご存知かと思う。獣の乳で作ったような、ねっとり重厚な甘味はやっぱり大様である。大体風貌がいい。あんなごついトゲに覆われている果物などほかにないでしょう。トゲは鋭く、うかつに素手で触れば皮膚を破ってしまうのです。 ドリアンに柄をつけて振り回せば立派な凶器である。 匂いについても、普通、果物は芳香を放つものなのに、こいつはプロパンガスに似た異臭を放つ変わり者である。ガイドブックにはたいてい、「ドリアンは臭いぞ、臭いぞ」と書かれている。食べてみればやっぱり臭い。この匂いはとても強烈で、冷蔵庫に入れておいたら、中にあるもの、がドリアン風味になってしまう。すべてを支配下におかなければ気がすまない暴君なのである。 果物というか食べ物は基本的に現地まで身体を運んで口にするものだと思う。今は輸送手段が発達しているし、金に任せて取り寄せるので、日本にいながら世界中のものが食べられるけれど、遠くから運ばれてきた食べ物というのは、ポートレートのようなものである。その抜けている背景を含めた素顔を、見たり感じたりすることが、現地に身を運ぶ意味なのではないだろうか。まったく、タイは果物のうまいところで、これらを食べる目的だけでも訪れる価値のあるところです。 一般に知られてるのはマンゴー、パパイヤ、ランプータン、マンゴスチン、ドリアン、レイシ、ジャックフルーツ、竜眼まあこんなところだが、このほかにもたくさんの果物がある。手当たり次第食べてみよう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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