小さな宝物

2007/09/13(木)11:16

『対岸の彼女』角田光代著

愛読書(798)

117.対岸の彼女 女の人を区別するのは女の人だ。既婚と未婚、働く女と家事をする女、子のいる女といない女。立場が違うということは、ときに女同士を決裂させる。 以前から気になっていた一冊です。 角田さんの本ってとっても日常的なんだけど読み終わった後に ほっと優しい気持ちになれるなあっていつも思います。 力まずに読めて読み始めるとどんどんその話に引きこまれてしまいます。 主要人物は35歳の二人の女性。 一人は独身のバリバリ働くキャリアウーマン。 もう一人は子供がいる専業主婦でまた働き始めた女性。 全く違う生活を送る二人。 性格も生き方も全然違うようであるのだけれど何となく気が合う。 それは過去が影響しているようなのだが・・・。 葵の過去の部分はものすごく共感出来る部分があった。 女子校でグループがあって、何となくいじめられる人がいて。 よく学生時代の友は一生の友というけれど女性の場合は 結婚してるかしていないか、子供がいるかいないかなどで 自然に環境が変って連絡を取らなくなっちゃったりすることも 多いのかなって思います。 読み終わって思ったのは人付き合いが得意な人ってどれくらいいるのかなってこと。 みんな人と関わる時は少なからずいろいろ悩んでいるんじゃないかなってこと。 私の一番の親友は最初私と全然違う人だなあって思った。 私はとにかく初対面の人と打ち解けるのが苦手で自分からは決して話しかけないけど 彼女は初対面でも誰とでも打ち解けちゃう人。 ああ~いいな、こういう人、羨ましいって思ってました。 でも仲良くなっていくと、彼女は無理をしてるんだってことに気がついて。 誰とでも仲良くしてるように見えるのに人一倍自分はどう思われてるのか気になる人で。 私は、傷つくのが嫌だからあまり積極的に人とコミュを取らないタイプだったけど 彼女は自分を守るためにみんなに笑顔を振りまいてる。 根底は同じなのに面白いなって思いました。 この本を読み終えた後、自分の学生時代のことを考えました。 学生時代、友達を作るのが簡単だったか? 決して簡単じゃなかった。 友達のフリをするのは簡単でも本当に心を許せる人は本当にわずかだった。 みんな自分を守るのに必死で自分が傷つかないことが大切だった。 何がおかしいのか解らないほど笑ったし、騒いでいたけど何となくむなしかった。 狭い世界でそれでもあの頃はそれが精一杯だった。 そんなことを思い出しました。 私は大人になってからの方が肩の力が抜けて、人と上手につきあえるようになりました。 何となくいろんな人とそつなく接することが出来るようになったとき 私も大人になったんだなあって実感したものです。

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