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カテゴリ:愛読書
VS 191.VS かつて売買されたひとつの卵子が、16年後、殺人鬼に成長していた。凄惨な現場に残された「VS」の文字に秘められた謎とは―。 と解説を読むとすごいサスペンスチックに感じるけど 実際読むとこれは母と母の葛藤の物語です。 卵子を提供した遺伝子上の母と産み育てた母との葛藤。 物語はアメリカで卵子提供を受けた夫婦の間に生まれた子供が殺人事件の 容疑者になり自殺してしまうというところから始まります。 展開上ちょっと強引なところもありつつ、じょじょに同級生などから 証言を得ていくわけだけど、聞けば聞くほど、その少年の本質から 遠ざかっていくような気がしてしまいました。 結局最後まで少年が何を思っていたのかよく解らないまま。 また友人達とのエピソードも探偵の死も中途半端に 終わってしまっているような気がしてちょっと焦点が定まらない印象を受けました。 あとこれを読んで少なからずショックだったのは体外受精に関して 少し批判的かなあと思ったこと。 少年は自分が試験管の中で創られたと解釈していたようだし。 母のお腹の中で育ち産んだ子なのにそういうふうに感じてしまうのかなって。 母とは遺伝子上の親子ではないから一般的な 日本で行われている体外受精とは明らかに違うのですが・・・。 たぶん命の重さについて考えて欲しいと書かれた本だと思います。 それ故にどれほど望んでも手に入らない我が子を抱くため 体外受精することを最終的には認めて欲しかったのだけれど・・・。 結局産まれが原因じゃないと思うから。 産まれた後の方が大事だと思うから。 親子の絆って子供が成長していくなかで少しずつ 築き上げていくものなんじゃないのかな・・・・。 その辺の描写がなかったのがとても残念。 何かすっきりしないモヤモヤが残ってしまう作品でした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008年07月27日 20時33分13秒
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