2008/09/08(月)17:32
『おそろし』宮部みゆき著
おそろし
226.おそろし
実家である川崎宿の旅籠で起きたある事件をきっかけに、人に心を閉ざした17歳のおちか。叔父・伊兵衛夫婦が神田三島町で営む袋物屋「三島屋」に身を寄せている。おちかを案じた伊兵衛は、いつも碁敵を迎える「黒白の間」で、人々から「変わり百物語」を聞くようおちかに言い付ける。人々は話すことで心を軽くして帰っていき、彼らの不思議な話はおちかの心を少しずつ溶かし始める。伊兵衛の狙いはそこにあり、やがておちかが心を閉ざした事件も明らかになっていくのだった。
最初からぐいぐい物語に引きこまれて、自分も百物語を聞いているような
気分になります。
そこには恐ろしくも悲しいヒトの姿が描かれています。
おそろしと言ってもそれはゾクっとするような怖さで
怖さよりも人の情念の深さや、切なさや、どうにもならない気持ちなどが
痛々しく感じられ、胸に迫ってくるものがあります。
それは自分だけが辛いんじゃない、誰しも心に背負っているものが
あるんだよと教えてくれます。
宮部さんの書く物語を読むといつもこういう気持ちになり
自分の抑えてた気持ちが解き放たれる感じがするんですよね・・・。
ただ、ラストに向かう方向性が私はもうちょっと違う感じが良かったなって思って。
もっとおちかにさらけだしてもらいたかったなってそんな風に思いました。
ネタバレになるのであまり詳しく書けないけど(^^ゞ
もしかしたらまだ続きがあるからああいう感じになったのかなあ。
ちょっと上手くまとまりすぎちゃってる感じがしちゃって・・・。
でもラストの1ページは好きなんですけどね~。