2009/02/10(火)10:42
『泥ぞつもりて』宮木あや子著
泥ぞつもりて
48.泥ぞつもりて
女は待ち、男は孤独を知る。清和、陽成、宇多天皇、いつの時代も女に生まれれば同じこと。平安王朝にまつわる男女の尽きせぬ狂おしい想い。
平安時代の優美で官能的な雰囲気がとても好きな感じでした。
政に翻弄される男と、帝に寵愛され、子供を産むことを求められる女たち。
愛する人と添い遂げたいだけなのにそれすらも叶わない。
男女の情愛の念が痛いほど伝わってきます。
3編収められていますが、「凍れる涙」が特に好きです。
一途に思い続けながら身分が低いために帝との間に産まれた男児を
親王に出来ない女と、年の離れた男と恋に落ち帝に嫁ぐことを定められながら
それに激しく抵抗した女。
そんな二人の女性が最後にひっそりと肩を抱き合う。
女っていつの時代も悲しい生き物だなあって思いました。