チャムのひげ へようこそ

2010/10/25(月)04:01

雨池太郎ものがたり

先日、兜巾の岩でばったりお行き会いした、かつての上司より写真集が送られてきました。「雨池太郎ものがたり」です。雨池のほとりにあるダケカンバ「雨池太郎」をテーマに、四季折々の美しい写真と詩とで綴られています。この写真集の中綴られていた一節です。 生きるということは、かなしみの基盤の上に、生の喜びを感じることなのだろうか。  この日の朝、偶然にも本棚に置いてあった本を手に取りました。美智子さまのご講演集「橋を架ける」です。この本の中に出てくる、新美南吉の「でんでんむしのかなしみ」という話の一節をちょうど読んだところでした。でんでんむしはある日、自分の殻の中が悲しみがいっぱいに詰まっていることに気づいてしまいます。そして仲間のでんでんむしのところに行き「私の殻の中は悲しみでいっぱいだ」と話をします。すると仲間のでんでんむしも「私の殻もかなしみでいっぱいだよ」とこたえる。他の仲間のところに行き、同じことを告げますが、その仲間も同じように「私の殻の中もかなしみでいっぱいだよ」とこたえる。そしてそのでんでんむしは、もう悲しむのをやめた、というお話です。 吉野弘さんの詩「I was born」も、ふと思い出しました。  自分がじたばたと もがいているのは、この「悲しみ」への抵抗なのかな…秋の夜長、ちょっと立ち止まって考えてみたいと思います。

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