読書「かばん屋の相続」
先週は急用ができて、1週間地元広島に戻っていた。あいにく連日雨および台風接近。私が雨女だったのを思い出した。いつもマイレージを使い、全日空で毎月往復していたが、そろそろマイレージも底をつく。久しぶりに新幹線で上京することにして、乗車時間で読めそうな文庫本を買った。池井戸潤 著「かばん屋の相続」他 短編集文芸春秋文庫 第1刷2011年4月 第18刷2013年8月ドラマ「半沢直樹」が大ブームになった作者 池井戸潤さんの短編6話主人公は常に銀行員融資先の顧客とのエピソードをひとつの話とし、銀行員の様々な思いと苦悩が描かれている。顧客は主に中小企業の経営者。不況等、様々な理由で経営不振の中、いかにしてこの窮地を乗り切るかというだけでなく、融資がかなわなかった中小企業の行方が、はかなさとともに描かれている。銀行は窓口に行くことはなく、最近はすべてATM、またはネットバンキング。生活費の出し入れ、住宅ローンや支払いで振り込んだりする以外には縁のない私にも、銀行の仕組みが分かりやすく、興味深く読むことができたのは、さすが池井戸さん。誰もがみんな、誠実に地道に一生懸命生きている。時には上から目線の銀行員になりがちな態度を戒めながら、優しい目線で頑張る人たちの幸せを願う一銀行員は著者本人か。叔父は地方銀行員だった。3~4年ごとに転勤先が変わる度に叔父に頼まれて、父の預金先が変わり、独身OL時代の私にまで矛先は向けられた。私の妹の旦那さんも銀行系。融資一筋できて支店長職。ただいま地方で単身赴任。平素ドラマは見ないというその義弟は、単身赴任先の広い社宅の一室でひとり、力を入れてドラマ「半沢直樹」を観ていたらしい。