小説2「うちはね・・・ゆうが好きだよ!ごめんね急に・・。ビックリしたよね・・。」という一通のメール。男子としか関わりの無かった僕にとっては、もちろん女子にこんなことを言われるのは初めてである。こういうときに、なんて言ってあげればいいのかわからなかった。とりあえず、「ありがとう。でもどうして僕なの?」と送った。これが正直な気持ちだった。すると、聡里は僕の好きな理由を言ってくれた。話しやすいとか、優しいとか。とても多くの理由について話をしてくれた。本当にうれしかった。僕は思い切って、「僕と付き合いたいってことなの?」と聞いた。鈍感な僕は、相手から本当の気持ちを聞かないと、気持ちがわからないのである。すると、「はっきり言うと・・・付き合ってください!ってことだよ。ちゃんと言わないでごめんね。」というメールが来た。僕は迷った。こんな僕でいいのだろうか。僕には自信もないし・・。でも、僕は今までのような日々を送りたかった。それだけで満足だった。多くのことを話し、楽しい毎日を送るだけで十分だった。 中学では、付き合うことを冷やかしたり、バカにするひとが多くいる。僕なんかが付き合ったら、冷やかされるのは想像がついていた。そうすると、楽しい生活は崩れるかもしれない。当たり前の楽しさが無くなるかもしれない、という不安があった。それに、なんといっても聡里に迷惑をかけたくなかった。冷やかされたりして、嫌な思いをさせたくなかった。だから、僕は付き合わなくてもいいと判断をした。「別に付き合わなくても、仲良くできるよね?僕はこのままで仲良くしていきたいの。」と言った。聡里はすぐに「これからも仲良くしてね!」というメールを送ってきた。これでいいのかなぁ。ちょっと心配になった。 何日かたって、塾の帰りなど、聡里と話すようになった。直接話すのは、緊張してしまい、思うように話せない。でも、聡里が積極的に話しかけてくれるので、僕としてもうれしかった。メールは、ほとんど毎日した。告白をされてからも、いつもと変わらない日々を送っていた。 しかし、聡里が携帯を親に没収されてしまった。唯一の連絡手段だったので、話す機会はかなり減った。さらに、聡里の学校のテストの日が近くなった。そのため、聡里の塾の時間は変更になった。会う機会を完全に失った。 僕の中学では、修学旅行が近づいてきた。だんだん、盛り上がってきている。修学旅行といえば、聡里がお土産をくれたよなぁ。と遠い昔を思い出すように考えていた。僕もお土産を買ってあげよう。そう考えた。お土産のことを考えると、自然と楽しくなった。 しかし、家に帰ると聡里からのメールは来ない。当たり前か・・・。没収されたんだから。でも寂しい。生きがいを失ったみたいだった。大げさかもしれないけど、本当にそんな気分だった。僕にとって、聡里は大切な人だったんだ、と今さら気づいた。どうして、僕の気持ちに気づけなかったんだろう。自分が情けなかった。こんなにも僕は聡里が好きじゃないか。どうして気づけないんだ。聡里に携帯が返ってきたら、僕から告白しよう。でも、できるかなぁ。あいまいながらも決心した。 そして、修学旅行当日となった。その日は聡里のことはあまり考えずに、純粋に楽しもうと考えた。1日目2日目と京都・奈良を見学した。古い建築物がなんとなく思い出に残っている。3日目になった。この日にお土産を買おうと決めていた。僕は、自分にはセンスがない、と自覚していた。なので、無難にキーホルダーでも買おうと決めた。可愛らしい感じのキーホルダーを買い、これでよし、と自分なりに満足をした。 ようやく帰って来た。6月5日だった。彼女からのメールはなかった。なので、まだ携帯は返ってきていないのだろう。早ければ早いほうがいいな。そんなことを考えていた。 次の日、僕の数少ない女子の友達にメールで聡里のことを相談した。僕は告白する気がある、という話もした。すると、「聡里には彼氏がいるらしいよ!今日、一緒にいたの見たんだよ!」と言ってきた。ショックだった。悲しかった。一瞬、目の前が真っ暗になった。でも、本当かわからないじゃないか。僕は諦めが悪い。事実をしるまでは信じないのである。「本当なの?それを見たの?」と聞いた。すると、「よく見てないからわからない。」と言った。これで可能性は増えた。僕からすると、彼氏がいない可能性なんて、1%でもあれば十分なんだ。 そのことについて話をしていると、1通のメールが来た。誰かなぁ?見てみると、聡里からであった。「携帯を返してもらったよ~」という内容だった。僕は真実を早く知りたかった。なので、いきなり彼氏のことについて聞いた。すると、「あれは罰ゲームなの。だから、なんでもないんだよ。」という返事が来た。これが真実だ。ようやく落ち着いた。 落ち着いてすぐに、ふと気づいた。聡里を他の男子にとられたくない。そういう意志があることに。僕はやっぱり聡里が好きだということに。今伝えよう。僕の気持ちを伝えよう。そう思った。思い切って言わないと、気持ちが抑えられない。 そうして、僕は告白すると決めた。臆病者の僕は、遠まわしに話を始めることにした。「僕が、聡里のこと好きって言ったらどうする?」と聞いた。 |