|
カテゴリ:未亡人のセレクトBOOK
「私は泣く大人になりました」
江國香織著。 夫・愛犬・男友達・旅・本のこと・・・・ 江國さんの短編エッセイ集。 私が(もっぱら)図書館でエッセイを手に取るとき、 インスピレーションは「タイトル」 泣く大人。 なんてタイムリーなんだろう。 ここの場合のタイムリーは、私の場合、かれこれ7年余り続いてる。 死別して、泣きたいときに泣けない大人を、 沢山知ってる。 一方世の中はどうやら「泣きたい」らしい。 「泣ける一冊」「泣ける映画」の数々・・・ 感動すること、それから、時には思いっきり泣くことは、 ストレス解消にも、よいんだとか。 私は、泣きたかったんじゃない。 あんなことで、まさか、泣く人生になるなんて。 もっと笑っていたかったジレンマと、 泣かされる状況に放り込まれてしまった戸惑い。 夫を見送って泣くのは、おばあさんになってからなのが、 常識だと思ってた。 泣きたがる世の中に対して「泣くな!」とエッセイに書いていたのは、 確か、大石静さん。 身内の前でも泣いたりできないのは、 今に始まったことじゃないし、私の問題だから仕方がない。 お葬式の日に、唯一抱きついて号泣した相手は、 彼との結婚をとても喜んでくれてた、近所のおばさんだった。 赤の他人になら、見せられる弱さ。 家族には、見せたくないはずなのに、 お通夜では、知りあいの顔を見つけるたびに、 涙が止まらなかった。 知ってる誰かを見つけることと、 涙のスイッチが連動してるのかと思うくらいに。 泣いても、いいんですよ。 自分のHPでもブログでも、さんざんそう書いてきたけど、 私自身は、「誰かの前では、泣けない大人」だ。 それでも、一人でさんざか泣いてきたから、 もう充分だろうと思ってる。 「泣いても、いいんだぜぃ」くらいのことを、 言ってくれる人が、いなかったわけじゃない。 そうしなかったのは、するべき相手じゃなかったのかもしれないし、 必要じゃなかったのかもしれない。 この先も、それは、わからない。 思ってるのは、むやみに子供に心配かけるような 泣き方はしたくないってこと、だけかな。 かっこいい、大人になりたい。 「泣けない大人」ではなくて、 「泣かない大人」になら、なってもいいかと、思う。 今朝はもう、セミの鳴き声が聞こえなかった。 また、私は、冬へ向かおうとしてる。 どうせなら、 お気に入りのブーツで、 歩いていこう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[未亡人のセレクトBOOK] カテゴリの最新記事
|