地下室で手記

2009/01/18(日)14:21

今日のキバ総括

キバ(50)

仮面ライダーキバの作品としての総括をしようかなと思っていますが、総括という名の文句垂れ流しとしか思えないような内容になるので、キバを本気で楽しんだという方はスルーしていただきたいと思います。 文句を書き連ねる前に、まずは前作で異例のヒットとなった電王と比べられてしまうのは本当に大変だったろうという事と、電王のヒットに乗っかって似たようなものを続けるという事をしなかったという事は、評価しないといけないかなとは思います。 2つの時間軸という実験的な事も、試みとしては面白いものでしたし。 電王と違うものを目指す、過去にない試みの舞台設定をそろえるというところまではよかったのに、大きな問題は向かった先が結局過去の平成ライダーの作風の焼き直しに終わり、電王が示したように新しい方向性を見せることではなく、単なる過去作の劣化版としか映らなかったという事でしょうか。 過去作の劣化版としか感じなかった理由は、これまでの感想で繰り返してしまっている部分にもなるのですが、ざっくりと分類してしまうと、説明不足、消化不良、ご都合主義、物語の軸が無いという事になるでしょうか。 まずは説明不足。 私は何でもかんでも、しっかりと説明しなければならないという考え方ではありません、謎として引っ張る事による楽しさがある事は当たり前だと思っていますし、説明過多は逆に興醒めを招くことも分かっています。 そういった事が分かっていてもなお、キバは説明不足は枚挙に暇がない作品であったと。 その中ではまずファンガイアの存在があるでしょう。 平成仮面ライダーでは勧善懲悪という作風を逸脱する事を目的としているものが多く、そのために悪というものとわかりやすく定義しない傾向があります。 それはそれで構いません、勧善懲悪ではないものから、戦う理由、戦わなければいけない理由というものを発揮させれば善悪という基準ではないものとしてヒーローものは成立する事くらいは分かっています。 しかし、戦うべき存在としてファンガイアという設定を出したならば、何故戦わなければいけないのかを明示してもらわないと困ります。 ファンガイアについては、人間を襲うという事で敵とする事ができます。 しかし、ファンガイアは人間のライフエナジーを食糧としない事には生きられない存在なのか否かで物語は全く変わるはずです。 最終回で太牙がライフエナジーに変わるものを研究させようとする事で人間との共生を出そうとしているために、おそらくは食糧としての人間のライフエナジーの存在は重要なのだろうという事はわかりはしました。 しかし、音也との約束で人間を襲わないと約束して22年間人間を襲わないできたファンガイアの存在があったり、食料として大切な存在として人間があるのならば、チェックメイトフォーなどというファンガイアとしては重要なポジションにあると考えられるルークの存在は困りものになるはずです。 なにしろ、タイムゲームと称しゲームのためだけに乱獲をしていたわけですから食料問題として人間を考えた場合ファンガイアとしてはむしろ邪魔な事をしているのではないかと。 ファンガイアという種族がどういう習性であるのか、しっかりと定義づけされていないために、結局存在自体がよく分からないままになってしまったと。 付け加えるのならば、ここら辺がはっきりしないまま、ファンガイアの掟として人間を愛してはいけないであるとか唐突に出されても掟以前に存在を説明していないだろうと。 ファンガイアが説明不足であるならば、キバの存在も説明不足になりますね。 当初青空の会(というか主に名護さん)がキバはファンガイア以上に危険な存在であるとしていましたが、結局青空の会の見解として、ファンガイア以上にどこが危険なのか具体的なものは出されないまま。 当初は設定として出されていた、渡はファンガイアと人間のハーフという事から、ハーフ=キバなのかと予測した事もありましたが、そういう事ではなかったというのは、終盤に出されましたし、キバットがガブッとすればキバという事なのかもしれませんが、そうなるとキバットの存在が何であるかはまったく触れられず、それでいながら闇のキバの力が云々というのは出てくると。 キバットバット2世が出すのが闇のキバの力なのかという程度しか分かりませんし、闇のキバとそうではないキバの違いも説明されていませんな。 他にも多くの説明不足がありますが、きりがないのでこの程度で。 次に、消化不良 これも多々あるものなので、困ってしまいますがあえて、初期設定の失敗として考えてみたいと思います。 レギュラーが多くてさばき切れていないとしか思えない状況の上にさらに追加していったで済ます事もできますけどもね。 2つの時間軸という複雑になる設定を使っている時点で、レギュラーキャラクターはシンプルにしないと消化不良になってしまうのは明らかであるのにもかかわらず、レギュラーの数が最初から多すぎたと。 少なくとも健吾は準レギュラーである必要が全く無かったと露骨にわかるキャラでしたね。 消化不良の例としては麻生母娘というのは一番感じたものでしょうか。 紅父子と対になって登場しており、物語の中核を担う存在なのかと思いきや、母はともかく、娘に関してはルークを倒して以降本筋とは関係ない部分でしか出番がなく、最後になってきてからとってつけたような名護さんの視力低下で戦いのサポートをして名護さんと結婚という事に。 名護さんと恵が結婚するしないに関しては別にそれが悪いというわけではないのですが、母娘とわざわざ出している意味がなくなってしまったなと。 説明不足という事にもなりますが、結局母親のゆりさんの死がファンガイアとの戦いを続ける意味としてあったはずが、ゆりさんの死に関しては全く描かれる事もなく、ルークが母親の仇であるかのように思わせておきながら、母親の仇討ちとしてやったのはゆりさんがやっているので、恵とルークが戦う意味が見いだせなくなってしまっていると。 ひょっとしたらば、22年前倒したように見えたルークは、あのあと蘇って(というか死んでいなかったというのは明らかですから)一度倒された恨みを晴らしたという事にできなくもないですが、少なくとも作中では一切描かれなかったのでそれではダメだろうと。 説明不足と重複してしまう部分も出てきますが、解決できていないものが多すぎるという事が消化不良だという事で。 ご都合主義 これも枚挙に暇がないという事自体がこまりものですね。 ぱっと思いつくだけでも、青空の会の組織力がその時々で全く違ってくるであるとか、嶋さんがいきなりファンガイアにされたり、死んだと思ったけども人間として復活したり、音也の魂が何の説明もなく渡に憑依してみたり、音也が短時間の記憶喪失に陥ってそのすきに真夜が急接近してみたり、過去を改ざんするくらいどうでもいい事として簡単に過去に戻れたり、名護さんの目が見えなくなってみたり、いきなり見えるように戻ってみたりetc もの凄く場当たり主義なんですよね。 力技というものは使い方によっては面白いと感じるものなのですが、何かインパクトを見せるためだけに、その場限りのものをやっては使い捨てみたいな力技はどうにも受け止められなかったと。 インパクトのためのインパクトというのはそろそろやめにして欲しいんですけどもね。 物語の軸がない 結局キバという物語で何をやりたかったのか最後まで分かりませんでした。 個人的にはせっかく2つの時間軸を使ったのですから、この設定だからこそできるものを期待していたのですが。 初期の頃は過去と現在が行ったり来たりとせわしない部分がありましたが、同じファンガイアが出て来るなど相似形を作ったりと設定を有効利用しようとするものも見えましたが、早い段階で22年間という時間の空白の意味を何も提示しなかったために、ただ2つの時間軸でやっているというだけで終わってしまったのがもったいないと。 少なくとも過去と現在両方に出て来たファンガイアはその間やりたい放題だったとしかなりませんでしたからね。 結局因果関係を作り出せなかったという事は重要視していなかったという事で、物語の軸とは考えていなかったんだろうと受け止めるしかなくなりますからね。 初期の頃1つ考えたのは、過去編ではキバがいないからファンガイアを倒す事ができず、その代りに封印でもしてその封印が22年後の現在でとける事となったとかなのかと考えた事もありましたが、過去にもイクサが登場して、完成度が低く装着者に負担がかかるなどの問題はあったにせよ、ファンガイアを倒すのに問題はなかったので、そんな封印説はあっさりとなくなりましたしね。 物語の軸と思われた紅父子も麻生母娘も親子として受け継がれた何かがどうかなるというような話にはなりませんでしたし、チェックメイト・フォーというかキングだのクイーンだの昼メロをグダグダやり始めて以降に、唐突に人間とファンガイアの共存というようなものが物語の中心になるかのように出てきましたが、それを中心とするには、ファンガイアが説明もされていませんし、物語の中心軸として使うには唐突すぎる事でしかありませんでしたし。 結局最後まで何をやりたいのかはわかりませんでした。 私の理解力が劣るだけという可能性も捨てきれませんが、放り投げたものが多く存在するという事ははっきりしていますし。 批判的な事だらけになりましたが、とりあえず批判のための批判はしていないつもりですし、逆に言うと設定を大事にして、過不足ない説明がされて、因果関係をしっかりとさえすれば面白いものができたはずだというのがあるわけでなんですよね。 きちんと1年間というスパンで絶対にやるべき事を計画してさえいれば絶対にここまで破綻したものにはならなかったはずだと。 文句の方が多くを占めてしまいますが、初期の頃の音也と次狼とのやり取りであるとか楽しめたものもありますし、流れとかを無視して、あくまでも単体として見るのであれば燃える作りになっているものもありましたし、そういう意味では本当にいろんなものを無駄にした作品だったと。 とりあえず、作り手側は何故電王が異例の大ヒットになったのか、キバは何でそういったヒットにつながらなかったのか、しっかりと分析して、今後の作品作りに生かしてもらいたいものです。 散々消化不良だと文句を言いながら、この総括自体が消化不良になってしまっているのは内緒だ。 仮面ライダーキバ超戦士ひみつファイル

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