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カテゴリ:読書 ノンフィクション
本著は、「エネルギー効率史観」という時の覇権国家は全てエネルギー効率が最も優れた国が握ってきたという着目点から出発し、覇権交代はどのような条件で行われているかを分析し、次の覇権国家を握る国って日本ってことなんじゃないかという結論を導いているものになります。
分析の着目点は面白いですし、1つの物の見方としては納得できるものも多く見られます。 しかし、どうしても実感が持てませんし、さらに言うと予測としては日本の経済状況はまだしばらくは苦しみ続け、それから先の出来事と考えると恩恵を受けるようになるには、あと何年待たないといけないんだろうとか、次の世代になるなという事で楽観論としては気の長い話だなという事ですね。 エネルギー効率という点では、現在の日本の技術は世界トップレベルであるという事は、まぁ間違いない事なんだろうなというのは、実際問題外国がどうなのか分からないのでたぶん、そうなんじゃないのくらいの事なんですが、日本の利点としては大都市圏の鉄道網の利便性となると、分かりやすかったりはしますね。 電車移動する方が強制的にマイカーで移動しないといけない状況に比べてはるかに優れているか、そして現在覇権国家のアメリカはマイカー強制という、合理主義の権化のようでありながら不合理な事をしていて、それによる損失が大きいというのも解りやすいですね。 東京のように大きな街がやたらめったらある都市は世界的にないとよく耳にする事ですが、それと鉄道網の整備は無関係ではないという事なんでしょう。 そういったエネルギー効率のいい国が覇権国家だったという例は近代以降、風車のオランダ、蒸気機関のイギリス、石油のアメリカと引き継がれてきた事から証明されていると。 そして、覇権国家は直前までは地味で自信をうしなっていた2番手国家であると、それもまた日本に当てはまると。 出す例出す例、都合よく当てはめすぎじゃないかと思えなくはないのですが、自信を失っている国はエリートが一番自信を失っているために、無茶苦茶が出来なくて、大衆からの底上げにつながるというのは、視点として面白いですね。 視点としては面白いのですが、なかなか素直に日本に覇権国家の役割が転がり込んでくると言われても信じられないのは国としての自信を私も失っているという事かもしれないですし、覇権国家が覇権を譲られた時は直接軍事力で奪ったわけではないという例を出されても、現在の日本って軍事的にいろいろと危険にさらされているし、一生懸命売国したがる政治家が国のトップので素直にうなずけない部分はありますね。 個人的に面白いのは覇権国家は国内で言語が1つで通じる事が重要であるという事ですね。 日本は日本語だけで通じますし、外国語が苦手なために、英語教育をしたところで皆英語を使うよりも日本語で全てを賄う事に慣れきっているために、全て日本語化されているのが逆に強みに繋がるというもの。 アメリカは移民を受け入れる事によって発展する国だったが、やたらめったら受け入れすぎ、ヒスパニック系が英語を覚えようとしなくなりスペイン語圏が勝手に出来上がり、またそれを奨励するようなリベラル勢力がでてきたりで、他民族ながらも同一言語という覇権国家としての大前提を崩した事によって凋落してきたとするものですかね。 郷に入っては郷に従うような前提を崩した移民というものは絶対的に阻止しないといけないという事ですね。 日本も移民を受け入れる事を奨励していますが、低賃金労働者移民を受け入れるとするならば最低限日本で生活できるレベルの日本語をマスターしている事を条件ににしない限り、危険だというのはわかりやすいですね。 少し楽観論過ぎるかなと思いますし、実感できるものではないのですが、1つの考え方としては面白い視点ではあると思います、後は読んだ人がどう判断するかどうかを問われるのかなと。 第1章 この金融恐慌を本物の大恐慌にしたかったら…… 日本人だけが、そうする力を持っている 第2章 経済覇権交代の法則 世界的な不況でいちばん苦しむのは、次世代の経済覇権国 第3章 先進国を周期的に襲う「どん欲」症候群の不思議 排他的クラブが新メンバーを受け入れる時 第4章 ナンバー・ツーであることの不安が、愚策を採用させる 第5章 単一言語が覇権を呼び寄せる ことばこそ経済の主戦場 第6章 経済覇権国の性格が激変する もっとも外向的な世界帝国から内向的な世界帝国へ 第7章 ピンチはチャンス、チャンスはピンチ そのとき日本はどうする 内向の世界帝国日本の時代がやってくる お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010年01月17日 20時02分01秒
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