2010/02/24(水)15:17
生命のざわめき
[ 乗鞍岳 vol. 2 ]
おまえはいったい、何なのだ?
いったいなぜ、そんなかたちへと進化したのであろうか?
いったい何のために、こんなところにまで登ってきたのであろうか?
見たこともない高山植物たちを前にして、うぅむと唸りながら、
この惑星はいったい何なのだと思う。
花の造作の不思議さを、しげしげと見つめた。
過去に地球で繰り返されてきた自然淘汰には、
思いもつかぬほど膨大で壮大なドラマがあったであろう。
進化は、私たちが驚くような大胆な変化をもって体現されている。
最初は何気なく思った花でさえ、細部までよくよく見ていると、
ふつふつと不思議な感情が湧いてくる。
コレハイッタイナンナノダ?
次第に、なんだかリアルな世界とは思えなくなってくる。
でもこれが、俺の棲んでいる地球で起きていることである。
これがこの星の生命のダイナミズムである。
乗鞍岳の肌寒い風に吹かれながら、あぁ一緒なのだなと想い馳せたのは、
意外にもアマゾンのような熱帯雨林であった。
気候は違っても同じ。
これは、この惑星を舞台に繰り広げられる生命のうねりなのだ。
植物も動物も地球中の無数の生命は、この惑星の広い範囲にわたって進出し、
それぞれの地で、それぞれの戦略をとりながら生きている。
熱帯雨林で、ツンドラで、サバンナで、砂漠で、街角で、
それはもう地球のあらゆるところで。
不思議に進化した高山植物をあれこれ深く静かに見ているうちに、
植物に対する感じ方がずいぶんと変わっていくような気がした。
いままで何気なく思っていた地球中の植物たちが、
やけに激しく、やけに生命の躍動感をもって感じられてきた。
地球中の生命のざわめきを感じて、地球はなんてにぎやかな星なんだと思った。
そしてなにより、地球はやっぱりおもしろい、と思った。
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